【Excel】50銭以下を切り捨て50銭を超える場合は切り上げる方法|社会保険料の端数計算

 

社会保険料の端数処理をExcelで計算しようと思ったら、うまくできません。計算式を教えてください。

労サポくん

そんな悩みにお答えします。

社会保険料の端数計算は四捨五入ではなく、原則として「50銭以下を切り捨て、50銭を超える場合は切り上げる」方式です。

そのため、Excelで計算式を入れずに計算すると、端数処理が誤って計算されてしまいます。

そこで今回は、Excelで社会保険料の端数計算を行うときに使用する計算式をご紹介します。

「いつも端数が合わないなぁ」と悩んでいる方は、ぜひご覧ください。

この記事でわかること
  • 社会保険料の端数処理のルール
  • Excelで社会保険料の端数処理を計算する式
  • 使用する関数の詳細
Excelで給与計算を行っている場合は要チェックです
目次

社会保険料の端数処理のルール

社会保険料は従業員と事業主で折半して負担します。

その際発生する端数処理は、四捨五入ではなく以下のような決まりになっています。

「被保険者負担分(従業員負担分)の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて1円とする」

表で示すと以下のとおりです。

数字四捨五入社会保険の端数
1.411
1.521
1.622

たとえば、健康保険料が「13,145.4円(134,000 × 9.81%)」だった場合、折半すると「6,572.7円」になります。

この場合、従業員負担分が「6,573円」になるということです。

労サポくん

ただし、端数処理の特約などがあれば、その規則に従います

※参考:日本年金機構「保険料の計算方法について

Excelで50銭以下を切り捨て50銭を超える場合は切り上げる方法

Excelで50銭以下を切り捨て、50銭を超える場合は切り上げる方法は、以下のとおりです。

=MAX(ROUNDUP(A1-0.5,0),0)
※A1には従業員負担分の金額(折半した金額)を入れます。

これだけでは何だかわかりませんよね。使用している関数を分解していきましょう。

使用している関数は次の2点です。

  • MAX
  • ROUNDUP

それぞれを詳しく解説します。

MAX関数

MAX関数とは、指定された範囲の最大値を抽出してくれる関数です。

範囲の指定方法は、大きく分けて以下の2つです。

  1. MAX(A1:A10):A1からA10の中で一番大きい数字を返す
  2. MAX(A1,A2):A1でA2どちらか大きい数字を返す

50銭以下を切り捨て50銭を超える場合は切り上げる数式では、②の「どちらか大きい数字」の方を使用しています。

もう一度見てみましょう。

=MAX(ROUNDUP(A1-0.5,0),0)
「ROUNDUP(A1-0.5,0)」の結果か「0」のどちらか大きい方を抽出してねということです。

労サポくん

「返す」とは「結果を表示する」という意味です。「パソコンに返す」という意味合いで使われます。

ROUNDUP関数

ROUNDUP関数は「切り上げ」をしてくれる関数です。式は以下のとおりです。

=ROUNDUP(数値,桁数)

「数値」には切り上げたい数値を、「桁数」には切り上げる桁を指定します。

桁数が「0」の場合は、「小数点第一位を切り上げる」という処理です。

もう一度、50銭以下を切り捨て50銭を超える場合は切り上げる式を見てみましょう。

=MAX(ROUNDUP(A1-0.5,0),0)
「A1-0.5」が数値、「0」が桁数なので、「A1から0.5を引いた結果、小数点があれば切り上げる」という処理をしています。

0.5を引くことで50銭以下を切り捨て、桁数を0.5を超える場合は切り上げているということです。

MAX(ROUNDUP(A1-0.5,0),0)とは

最後に「MAX(ROUNDUP(A1-0.5,0),0)」の式を詳しく見ていきましょう。

たとえば、従業員の健康保険料が「6,572.7円」だった場合、以下の流れで計算されます。

  1. ROUNDUP(6572.7-0.5,0)=6,573
  2. MAX(6573,0)=6,573

6,572.7円から0.5円を引いて6,572.2円になり、切り上げて6,573円になりました。

また、0円より6,573円の方が大きいので「6,573」が返されるということです。

労サポくん

MAX関数を使用することで、社会保険料が「0円」だった場合は「0」が返されるようになります。

社会保険料の端数をExcelで計算

では、実際に社会保険料の保険料額表を用いて計算してみましょう。

全国健康保険協会から保険料額表をExcelでダウンロードして従業員の負担分を割り出します。

保険料額表で被保険者負担分を計算した結果

サンプルは以下のリンクからダウンロードできます。

また会社負担分は、「納付予定額から従業員負担の保険料額の合計を差し引いて」計算されます。

社会保険料の会社負担分の計算方法
出典:日本年金機構「保険料の計算方法について

個人単位での会社負担分の端数処理は、明確に定められていません。

人件費計上時に、部門ごとに社会保険料の会社負担分を配分するときは、どのように端数処理をするかを会社ごとに決めておきましょう。

まとめ

社会保険料の端数処理は、四捨五入ではなく「50銭以下を切り捨て、50銭を超える場合は切り上げる」方法で処理をします。

Excelで計算式を入れずに計算してしまうと、誤った端数処理がされるので、注意しましょう。

この記事が担当者様のお役に立てると幸いです。

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管理人:キタ コウタロウ
社会保険労務士・Webライター
きた社労士事務所代表
給与計算や社会保険業務などの労務業務を10年経験。その後、社労士として独立。人事労務コンサルのほか、Webメディアの執筆・監修に力を入れている労務の専門家。
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