
労働保険更新申告書を作るのに集計方法と書き方がわかりません



そんな悩みにお答えします
こんにちは、社労士のキタです。
毎年7月10日までに行われる労働保険の年度更新。
「正直、やり方がわからない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、労務担当者が金額を集計するところから、労働保険年度更新申告書の書き方まで徹底解説をします。
労働保険料の集計方法
労働保険料年度更新申告書を書く前に2つの集計が必要です。
- 被保険者数の集計
- 賃金の集計
実際には2つ同時に行いますが、それぞれの集計方法について解説します。
被保険者数を集計
被保険者数の集計は雇用保険と労災保険で異なります。
雇用保険に加入している従業員数を集計します。
大きく分けて次の2つです。
- 常用労働者(パート・アルバイト・日雇い含む)
- 役員で雇用保険の加入者
労災保険に加入している従業員と受け入れ数を集計します。
大きく分けて次の3つです。
- 雇用保険に加入している常用労働者(パート・アルバイト・日雇い含む)
- 役員で労働者扱いの者
- 労災保険のみ加入している労働者(パート・アルバイト、受入出向者など、名称問わない)
ここで注意していただきたいのは出向者の人数を抜いて、受入出向者の人数を入れるということです。
給与や役員報酬を支給していても、雇用保険や労災保険に加入していなければ対象外になります。
賃金の集計
メインとなるのが労働保険料の計算のもととなる賃金の集計です。
ここで注意しておきたいことは、すべての給与・賞与が対象ではないということ。
労働保険料は「労働の対償として支払われた賃金」が対象になります。
労働保険料の対象となる賃金
労働保険料の対象となる主な賃金は以下の通りです。
賃金とするもの | 賃金としないもの |
---|---|
基本賃金 | 役員報酬 |
賞与 | 結婚祝金 |
通勤手当 | 死亡弔慰金 |
家族手当(扶養手当) | 退職金 |
技能手当 | 出張旅費 |
在宅勤務手当 | 宿泊手当 |
調整給 | 赴任手当 |
地域手当 | 休業補償 |
住宅手当 | 傷病手当金 |
精勤手当・皆勤手当 | 解雇予告手当 |
休業手当 | 財形奨励金 |
宿直・日直手当 | |
昇給差額 | |
前払退職金 |
上記にない項目な「労働の対償として支払われた賃金かどうか」で判断しましょう。
なお、在宅勤務で一時的に出社する場合の通勤手当は「実費弁償」となり、労働保険の対象外となる可能性があります。
たとえば、ほぼ毎日が在宅勤務である勤務形態である場合に、たまに出社する時だけ通勤手当を実費精算する場合です。
「実費弁償」扱いになる判断基準は、労働条件通知書で「自宅が勤務地」になっているかで判断すると良いでしょう。
また、在宅勤務手当のうち業務の遂行に必要な費用の実費弁償に当たることが就業規則で明らかである部分は、労働保険の賃金に含まれません。



労災保険の賃金も人数と同じように、出向者の賃金を抜いて、受入出向者の賃金を入れなければいけません
賃金の集計方法
賃金の集計方法は電卓で計算したり、誰かが作ったエクセルの表に当てはめたりなど、会社それぞれだと思います。
ここでは参考までに、給与計算システムを使った集計を想定して私が行なっている集計方法をご紹介します。
結論から申し上げると「給与計算ソフトからCSVファイルを出力」をします。
給与計算ソフトはデータベースで給与データが管理されているため、ほとんどのシステムでCSV出力が可能です。
また、システムによっては各手当に「労働保険料の対象・非対象」の設定がされており、労働保険料の対象となる手当のみ出力ができます。



自動的に集計表が作成されるシステムもありますが、大抵の場合イレギュラー処理があるので、最終的にExcel(CSV)で計算が必要になります。
年度更新申告書計算支援ツールの使い方
人数と賃金の集計が終わったら、下記の公式Excelツールの「算定基礎賃金集計表」タブに集計した人数と金額を入力しましょう。


金額が入力できたら「申告書記入イメージ」タブに料率などを入れると自動計算されます。


「申告書記入イメージ」または「e-Govイメージ」を参考に申請書を作成しましょう。
労働保険料年度更新申告書の書き方
労働保険料年度更新申告書の書き方は、厚生労働省から提供されている資料がわかりやすいので、こちらをご覧ください。
令和4年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方(P1~P29)
令和4年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方(P30~P50)












令和4年度は料率の変更に注意
令和4年度においては年度の途中で料率が変更されます。
そのため、「令和4年4月1日 ~ 令和4年9月30日」と「令和4年10月1日 ~ 令和5年3月31日」の料率それぞれで計算した概算保険料を書かなければいけません。


労働保険年度更新の電子申請のやり方
労働保険の年度更新は電子申請でも可能です。
手順は下記の公式資料を参考にしていただければと思います。
e-Gov電子申請システムの画面操作方法等については「e-Gov利用者サポートデスク」までお問い合わせください。
電話番号:050-3786-2225
平日9時から19時まで(土日・祝日は17時まで)
5月・8月から3月平日9時から17時まで(土日・祝日および年末年始(12月30日から1月3日)は休止)
まとめ
労働保険料の年度更新は年に1度行われる大きなイベントです。
公式の資料もわかりやすくなっており、参考にしながら進めていきましょう。
公式サイト:令和4年度労働保険の年度更新期間について