振休と代休の違いがよくわかりません。
そんな悩みにお答えします。
「振休(振替休日)」と「代休」はどちらも休日出勤をした代わりに、別の日に休日を取る制度です。
しかし、それぞれ定義が異なっており、給与計算の方法も異なります。
制度を理解せずに給与計算をすると、誤った計算をする可能性があるため、労務担当者は必ず理解しておきましょう。
振休と代休の違い
振休と代休の違いは以下のとおりです。
- 振休:事前に平日と休日を入れ替える
- 代休:休日出勤の代わりに平日を休む
それぞれの違いを詳しく解説します。
振休
振休とは事前に平日と休日を入れ替える制度のことです。
たとえば、4月7日(土)と4月5日(木)を入れ替えた場合、4月7日が休日、4月5日が平日になります。4月7日は平日となるため、休日出勤の割増賃金は発生しません。
また「事前に」入れ替えるというのが重要なポイントです。
なぜなら、事前に申請していなければ本人が休日出勤のつもりで働いたとしても、会社が割増賃金を払いたくないという理由で「振休」にできてしまうからです。
もし事前に申請していない場合は法律上「代休」になります。
振替出勤をした結果、その週の労働時間が40時間を超えた場合、40時間を超えた時間は割増賃金が発生します。
代休
代休とは休日出勤の代わりに平日を休む制度のことです。
振休との違い、事前に休日働くことがわかっていないことが原則になります。
たとえば、「納期が迫っている未完成の商品があって、どうしても休日出勤しなければならない」という状況では代休になります。
つまり、代休は休日出勤が発生したあとに取得できる休日ということです。
また給与計算では、休日出勤分の割増賃金を支払い、代休を取った分は「不就労」という形で代休分を控除することになります。
たとえば、時給換算1,500円の従業員が8時間休日出勤し、後日代休を取った場合は以下の計算になります。
・休日出勤分:1,500円×8時間×1.35=16,200円
・代休控除:1,500円×8時間=12,000円
本人:16,200円-12,000円= 4,200円
通常、代休は有給休暇と違い、代休は「労働しなかった」とみなして代休分が控除されます。
そのため、最終的に割増賃金分が従業員に支給されます。
ここまで、振休と代休の定義について解説しました。しかし、実務上は定義通り運用できない場合がありますので、詳しく解説します。
振休・代休の実務上の対応
振休・代休は定義があるものの、会社ごとに運用が異なっています。
ここからは実務上でどういった運用がされるのか、事例をご紹介します。
事例1.代休はなし・振休は3ヵ月以内で使用する
代休がない会社の事例です。代休は法律上義務付けられていないため、現実的には振休のみで運用している会社もあります。
ある会社では、振休を3ヶ月ストックできる制度を設けていました。もし3ヶ月以内に振休を使えなかった場合、3ヶ月後の翌日に精算します。
たとえば、1月1日に振替出勤で休日勤務したものの、繁忙期だったため振休が3月末時点でまだ取れないということもあるでしょう。
その場合は4月の給与で1月1日の出勤時間に休日出勤の割増率をかけて割増賃金を支給します。
・時給換算1,000円
・1月1日に振替出勤:労働時間6時間
繁忙期で3月末になっても振休が取れなかった。
4月の給与で『1,000円×6時間×1.35=8,100円』を休日出勤として精算
代休がないこと自体は違法とはいえません。違法になるのは、毎週1日または4週間を通じて4日以上休みがない場合です。
事例2.振休は月内、月をまたぐ場合は代休
休日出勤をして月内に休む場合は「振休」、月またぎで休む場合は「代休」としていた会社の例です。
休日出勤の申請を1つにし、休みが月内か翌月以降かで振休・代休を変えていました。
振替をした場合は、割増賃金がつかないのでそのまま給与計算をします。
代休の場合は翌月休日出勤分の割増賃金を支払い、代休を使った月の翌月に代休控除をする運用です。
わかりやすい運用ではありますが、労務担当者の勤怠チェックが大変です。
従業員が勤怠を入力し終わったあと、振休か代休かを人事労務担当者の目でチェックが必要となります。間違って月またぎなのに振休を使っていたり、月内なのに代休を使っていたりすると給与ミスにもなる可能性があるためです。
実際に運用する場合は勤怠システムを入れることをオススメします。勤怠チェックはなるべくシステムに任せてしまいましょう。
まとめ
振休と代休の違いは以下のとおりです。
- 振休:事前に平日と休日を入れ替える
- 代休:休日出勤の代わりに平日を休む
なお実務では、事前申請は振休、事前申請ではなければ代休というルールにすると、従業員や労務担当者の管理が複雑になります。
振休・代休を導入する会社は運用しやすいルールを検討し、適切な制度を導入しましょう。
以上、担当者様の参考になれば幸いです。
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