
今月、部長が役員に就任しました。
社会保険の手続きは何が必要ですか?
そんな疑問にお答えします。
役員になると就任すると社会保険の手続きが必要です。
この記事では「社員が役員に就任したけど何をやればいいんだろう」という労務担当者の方にやるべき手続きを解説します。
社員が役員に就任した人の手続き
結論から言います。
役員に就任した人の社会保険手続きは「雇用保険の喪失」のみです。
離職票は作成しません。失業するわけではありませんからね。
健康保険と厚生年金はそのまま継続するので手続きの必要はありません。
ただ、役員に就任すると「労災保険」も適用されなくなります。
ですので、労災保険の特別加入、もしくは民間の任意保険に加入する場合があるのです。
後ほど解説します。



ちなみに労災保険には喪失手続きはありません。
雇用保険被保険者喪失届の書き方
それでは、役員就任時の雇用保険喪失届の書き方を解説します。
記入例はこちらです。


ポイントは下記の通り。
- 「6.喪失原因」は「1」の離職以外の理由になる
- 「7.離職票交付希望」は「2」の無になる
- 「26.被保険者でなくなった原因」は「役員就任」
喪失の原因は、役員に就任するので「離職以外の理由」となります。
離職票に関しては、会社を辞めるわけではないので離職票を作る必要はありません。
また、添付書類は不要です。喪失届だけハローワークに提出すればOKです。
労災保険の加入手続き
役員に就任すると労災保険の適用がなくなります。
その代わりに強制ではありませんが、任意で労災保険と同等な保険に加入できます。
選択肢は下記の2つ。
- 労災保険特別加入
- 民間の任意保険
このどちらかに加入することになります。
ちなみに労災保険の特別加入は中小企業限定です。
中小企業とは下記の範囲の会社のことをいいます。
業種 | 労働者数 |
---|---|
金融、保険、不動産、小売業 | 50人以下 |
卸売、サービス業 | 100人以下 |
上記以外の業種 | 300人以下 |
特別加入について詳しく知りたい方は厚生労働省の公式ホームページをご覧ください。
また、民間の任意保険についは、お付き合いのある生命保険会社に問い合わせみるとよいでしょう。
役員の労災対応は任意になるので、それぞれの会社でご検討くださいね。
役員に就任した月の給与計算
役員に就任すると、労働保険の対象外となります。
なので、給与計算をするときに「雇用保険料」と「労災保険料」の徴収をストップしなければなりません。
例えば、4月に役員に就任した人は4月の給与から徴収がなくなります。
間違わないように注意してください。
もし間違った場合は、翌月にマイナス控除で訂正しましょう。
労働保険料は、社会保険料と違って毎月納付するわけではないので社内調整でなんとかなります。
間違ったら本人に謝って、翌月で調整です。
まとめ
役員の就任は毎年あるわけではないので、どうやっていいのかわからなくなる方も多いんじゃないでしょうか。
社会保険の手続きとしては「雇用保険の喪失」のみです。
労災に関しては、会社によって手続きが違いますので確認しておきましょう。



なお、総務業務をやられている方は、登記の変更申請も必要です。
忘れずに手続きをしましょう。
以上、役員に就任した人の社会保険手続きでした。
ご参考になれば幸いです。