36協定の書き方がわかりません。
詳しく教えてほしいです。
そんな悩みにお答えします。
36協定を書こうと思っても、専門用語ばかりで何を書いていいのかわからなくなっていませんか?
この記事では、できるだけ専門用語を使わずに、36協定の書き方をわかりやすく解説します。
「記入例を見たり、いろんな記事を見たりしたけど、結局なにを書けばいいのかわからない」と悩んでいる方は、ぜひご覧ください。
36協定の書き方
この記事では、厚生労働省が公表している記入例を参考に1つ1つ項目を解説していきます。
「労働保険番号」「法人番号」
まずは労働保険番号と法人番号を解説します。
『労働保険番号』
労働保険番号は、労働保険の加入時に会社ごとに付与されている14桁の番号です。
労働保険番号は「労働保険の概算保険料・確定保険料申告書」で確認ができます。
『法人番号』
法人番号とは、株式会社などの法人が持つ13桁の番号です。
国税庁の法人番号公式サイトで検索できます。
「事業の種類」「事業の名称」
『事業の種類』
事業所業態分類を参考に今やっている事業にもっとも近い事業を書きます。
例)「旅行代理店業」「情報通信業」「機器器具製造業」など
『事業の名称』
36協定を締結する支店や営業所名を記入します。
例)「〇〇(株)札幌支店」「〇〇(株)福岡営業所」など
「時間外労働をさせる必要のある具体的事由」「業務の種類」「労働者数」
『時間外労働をさせる必要のある具体的事由』
業務別に残業をする理由を具体的に記入します。
例)「臨時の受注、納期変更」「月末の決算事務」「顧客からの緊急の要請」「受注・請求・集金・営業等の繁忙」など
『業務の種類』
時間外労働させる業務を具体的に記入します。
例)「事務」「経理」「営業」「機会組立」「製品管理」「外勤販売」など
また、健康上特に有害な業務については、その業務を他の業務と区別して記入しましょう。
『労働者数』
残業をする可能性がある従業員数を書きます。
時間外と休日労働の適用を受けない役員・管理職は人数にカウントしません。
アルバイトやパートも残業する場合は人数に入れます。
「下記②に該当しない労働者」とは
「下記②に該当しない労働者」とは、1年単位の変形労働時間制以外で働く人という意味です。
「一般的な働き方」をしている場合は上の段に記入し、「1年単位の変形労働時間制」を適用している場合は下の段に記入します。
行数が足りない場合は、もう一枚別紙で用意しましょう。別紙は全部書く必要ななく、行が足りなかったところだけ書いたもので大丈夫です。
出典:山口労働局「知っておきたい 36 協定届」
「有効期間」「起算日」
『有効期間』
この36協定が有効となる期間を書きます。
上限は3年ですが、毎年残業時間の見直しを図ることが推奨ため、原則は「1年」です。(1年未満の有効期間は認められません)
1年を超える期間を設定した場合は労働基準監督署から問い合わせがくる場合があるため、1年超を設定する理由を明確にしましょう。
『起算日』
「1年の法定労働時間を超える時間数」を計算する基準となる年月日を記入します。基本的に有効期間は1年になるため、起算日と有効期間の年月日は同じになることが多いです。
出典:福井労働局「36協定は「毎年」届出が必要です」
「1年単位の変形労働時間制により労働する労働者」
1年単位の変形労働時間制(3ヵ月~1年の変形労働)を適用している労働者は②の段に記入します。1年単位の変形労働時間制と書かれていれば下段の②に、それ以外は上段の①に記入します。
「自分の会社が変形労働なのかわからない」という方は就業規則を確認しましょう。
具体的事由と種類は①と同じです。
『時間外労働をさせる必要のある具体的事由』
業務別に具体的な残業理由を記入します。
例)「臨時の受注、納期変更」「月末の決算事務」「顧客からの緊急の要請」「受注・請求・集金・営業等の繁忙」など
『業務の種類』
時間外労働または休日労働させる業務を具体的に記入します。
例)「事務」「経理」「営業」「機会組立」「製品管理」「外勤販売」など
「1日の法定労働時間を超える時間数」「1日の所定労働時間を超える時間数」
『1日の法定労働時間を超える時間数』
「8時間を超える時間数を書いてください」という意味です。(法定休日出勤の時間は含みません)
なお、1日の時間に法的な上限はありません。
ただし、1日は24時間なので最高でも「15時間」が限度です。(16時間と書いてしまうと合計で24時間(16時間+8時間)になり、仕事が終わらないことになるため)
『1日の所定労働時間を超える時間数』(任意)
所定労働時間とは、「会社が決めている労働時間」です。もし、1日の労働時間が8時間未満の場合は記入する必要があります。所定労働時間が8時間の会社は空欄で構いません。
例)所定労働時間「7時間」の場合、所定労働時間を超える時間数「16時間」など
「1ヵ月の法定労働時間を超える時間数」「1ヵ月の所定労働時間を超える時間数」
『1ヵ月の法定労働時間を超える時間数』
法律では、1ヵ月の残業時間は「45時間」が限度です。(45時間を超える場合は特別条項が必要)
この記事で解説しているのは「一般の36協定」であるため、45時間超の時間を書くことはできません。(法定休日出勤の時間は含みません)
また、下の段の「②1年単位の変形労働時間制」を適用している場合は「42時間」が限度時間になります。
(法律で1年単位の変形労働時間制は42時間と決まっているから)
『1ヵ月の所定労働時間を超える時間数』(任意)
所定労働時間とは、「会社が決めている労働時間」です。所定労働時間が8時間の会社は空欄で構いません。
もし、1日の所定労働時間が8時間未満の場合は、法定の8時間の会社より「終業時間を超えて労働する時間」が多くなるため、45時間(42時間)を超えて記入することができます。
例)
・1日の所定労働時間「7時間30分」
・1月の所定労働日数20日の場合
1日30分が法定外の残業時間になるので、「30分×20日=10時間」となり、55時間(45時間+10時間)が「1ヵ月の所定労働時間」を超える時間数の限度時間となります。
「1年の法定労働時間を超える時間数」「1年の所定労働時間を超える時間数」
『1年の法定労働時間を超える時間数』
法律では、1年の残業時間は「360時間」が限度となっています。(360時間を超える場合は特別条項が必要)
この記事で解説しているのは「一般の36協定」になるため、360時間超の時間を書くことはできません。(法定休日出勤の時間は含みません)
また、下の段の「②1年単位の変形労働時間制」を適用している場合は「320時間」が限度時間になります。(法律で1年単位の変形労働時間制は320時間と決まっているから)
『1年の所定労働時間を超える時間数』(任意)
所定労働時間とは、「会社が決めている労働時間」です。所定労働時間が8時間の会社は空欄で構いません
もし会社の1日の所定労働時間が8時間未満の場合は、法定の8時間の会社より「終業時間を超えて労働する時間」が多くなるため、360時間(320時間)を超えて記入することができます。
例)
・1日の所定労働時間「7時間30分」
・1年の所定労働日数240日の場合
1日30分が法定外の残業時間になるので、「30分×240日=120時間」となり、480時間(360時間+120時間)が「1年の所定労働時間」を超える時間数の限度時間となります。
「休日労働させる必要がある具体的事由」「業務の種類」「労働者数」
『休日労働させる必要がある具体的事由』
時間外と同様に、業務別に具体的な休日労働の理由を記入します。
例)「臨時の受注、納期変更」「月末の決算事務」「顧客からの緊急の要請」「受注・請求・集金・営業等の繁忙」など
『業務の種類』
休日労働させる業務を具体的に記入します。
例)「事務」「経理」「営業」「機会組立」「製品管理」「外勤販売」など
また、健康上特に有害な業務については、その業務を他の業務と区別して記入しましょう。
『労働者数』
休日労働をする可能性がある従業員数を書きます。
時間外と休日労働の適用を受けない役員・管理職は人数にカウントしません。
アルバイトやパートも休日労働する場合は人数に入れましょう。
「所定休日」「労働させることができる法定休日数」「労働させることができる法定休日における始業及び終業の時刻」
『所定休日』(任意)
会社が指定している休日です。就業規則を見て記入しましょう。完全週休2日制の場合は、土日祝としている会社が多いと思います。
『労働させることができる法定休日数』
法定休日数とは労働基準法で決められている休日のことで「週1回あるいは1ヵ月で4日」の休みのことです。
土日を週の休日を設定している場合は、1日分(主に日曜日)が法定休日で、残りの1日(主に土曜日)が法定外休日となります。
つまり労働させることができる法定休日数とは、最高でも「1ヵ月に4日」となります。
ただし、「1ヶ月に4日」と記入すると労務管理上問題があるため、適切な日数を記入しましょう。
『労働させることができる法定休日における始業及び終業の時刻』
記入例は定時時間を書いてますが、ここは休日出勤した時の最大想定時間を書いておきましょう。
緊急対応に備えて「8:30~24:00」でも問題ありません。
「労働者代表の署名・押印」「選出方法」
『労働者代表の署名・押印』
労働組合がある場合は労働組合、労働組合がない場合は労働者の過半数代表者に署名・押印してもらいます。
2021年4月改正で36協定とは別に時間外労働・休日労働について協定書を作成している場合は、押印の必要はないとしてますが、実務上は別途協定書を作成している会社は少ないと思いますので、押印が必要になることが多いです。
『選出方法』
代表者をどうやって選出したかを記入します。「管理職からの指名」や「会社の意向に基づいての選出」などは認められません。
記入例と同じ「投票による選挙」など一般職の労働者で公平に決めた理由でなければいけません。
チェックボックス
チェックボックスには必ずチェックを入れてください。チェックを入れないと作成した36協定は認められません。
要は「ちゃんと話し合ってきめましたよね?」「労働者同士で正当に代表者を選びましたよね?」という確認のために設けられています。
特別条項付き36協定
時間外労働が月45時間、年360時間を超える場合は特別条項付き36協定を届け出なければなりません。
特別条項付き36協定については下記ので詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
まとめ
36協定は、従業員が残業する会社が必ず作成しなければならない重要な協定書です。
設定した時間を超えた場合には罰則も設けられているため、適切な時間を設定しましょう。
以上、36協定の書き方でした。担当者様の参考になれば幸いです。
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