【誰でもわかる】特別条項付き36協定の書き方【社労士が図解で解説】

 

特別条項付き36協定の書き方がわかりません。
教えてほしいです。

そんな悩みにお答えします。

労サポくん

この記事を書く私は労務の専門家である社会保険労務士です。

この記事でわかること
  • 特別条項付き36協定の書き方
  • 具体的に何を書けばいいのか
  • 休日労働を含むのか含まないのか
2019年改正で一般と特別条項の2枚必要になったよ

一般の36協定だけでもややこしいのに、特別条項付き36協定も作成しなければならないとなると「もうわけがわからない」という方も多いんじゃないでしょうか。

この記事ではできるだけ専門用語を使わずにわかりやすく特別条項付き36協定の書き方を解説します。

特別条項付き36協定の書き方に悩んでる方はぜひご覧ください。

目次

特別条項付き36協定の書き方

特別条項付き36協定を解説する前に、特別条項を届出するには下記の理由が必要です。

  1. 1ヵ月の残業時間が45時間を超える月がある
  2. 1年間の残業時間が360時間を超える
  3. 上記の時間を超える特別な事情がある

この3点の理由がある場合のみ特別条項付き36協定を届出する必要があります。

よろしいでしょうか。

ではまずは全体像です。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 特別条項-1-1024x710.jpg

ごちゃごちゃ書いててわからないですよね。
でも大丈夫です、一つ一つ解説していきます。

①「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」
②「業務の種類」
③「労働者数」

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 特別条項_事由.jpg

『臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合』
特別条項の理由は臨時的で突発的なことであることが条件です。そのため一般の36協定とは違った理由にならないといけません。

ここでは1ヵ月45時間を超えるような業務の内容を書きます。

例)
・予算、決算業務
・ボーナス商戦に伴う業務の繁忙
・納期のひっ迫
・大規模なクレームへの対応
・機械のトラブルへの対応

労サポくん

ちなみに「業務の都合上必要なとき」「業務上やむを得ないとき」など具体的ではない理由は認められません。

『業務の種類』
臨時的・突発的にさせる業務を明確に記入してください。
例)「事務」「経理」「営業」「機会組立」「製品管理」「外勤販売」など

『労働者数』
限度時間を超える可能性がある従業員数を書きます。
「限度時間を全く超える予定のない人」「役員」「管理職」は人数にカウントしません。

①「1日の法定労働時間を超える時間数」
②「1日の所定労働時間を超える時間数」

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 特別条項_1日の労働時間.jpg

『1日の法定労働時間を超える時間数』
「8時間を超える時間数を書いてください」という意味です。
1日の時間に法的な上限はありません。

ただし、1日は24時間なので最高で「15時間」が限度です。(16時間と書いてしまうと合計で24時間になり、仕事が終わらないことになるため)

『1日の所定労働時間を超える時間数』
所定労働時間とは、「会社が決めている労働時間」です。
もし、会社の1日の労働時間が8時間未満の場合は記入する必要があります。

例)所定労働時間「7時間」の場合、所定労働時間を超える時間数「16時間」など

①「限度時間を超えて労働させることができる回数」
②「1ヵ月の法定労働時間を超える時間数と休日労働の時間数を合算した時間数」
③「1ヵ月の所定労働時間を超える時間数と休日労働の時間数を合算した時間数」
④「限度時間を超えた労働に係る割増賃金」

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 特別条項_1ヵ月の労働時間.jpg

『限度時間を超えて労働させることができる回数』
45時間(1年単位の変形労働時間制は42時間)を超えると予想される月の回数を書いてください。最高は6回までです。
ここでいう45時間には休日労働の時間は含みません。

『1ヵ月の法定労働時間を超える時間数と休日労働の時間数を合算した時間数
2019年の法改正で時間外と休日労働を含めて単月100時間、平均80時間を超えてはいけないことになりました。
そのことから平均を考慮してすると実質80時間が限度時間になります。

『1ヵ月の所定労働時間を超える時間数と休日労働の時間数を合算した時間数』
所定労働時間とは、「会社が決めている労働時間」です。

もし、会社の1日の労働時間が8時間未満の場合は記入する必要があります。

例)
・1日の所定労働時間「7時間30分」
・1月の所定労働日数20日の場合

1日30分が法定外の残業時間になるので、「30分×20日=10時間」となり、90時間(80時間+10時間)が限度時間となります。

『限度時間を超えた労働に係る割増賃金』
45時間(42時間)を超えた時間外労働が発生した場合は「なるべく25%を超える割増賃金を払ってね」と政府から通達が出ています。(努力義務といいます)
つまり努力義務は「義務」ではないので、25%でもOKです。ちなみにここの時間数は休日労働の時間は含みません。

よく勘違いされているのが、月100時間、平均80時間を超えなければ罰則はないと思われていますが、実は違います。

罰則があるのは下記の4点です。

  1. 36協定の締結・届出をせずに時間外労働をさせた場合
  2. 36協定で定めた時間を超えて時間外労働させた場合
  3. 時間外労働と休日労働の合計時間が月100時間以上となった場合
  4. 時間外労働と休日労働の合計時間が2~6ヶ月の平均のいずれかが80時間を超えた場合

つまり36協定で定めた時間を超えて時間外労働させた場合は罰則があるということになります。

例えば「1ヵ月の法定労働時間を超える時間数と休日労働の時間数を合算した時間数」を「60時間」と定めて36協定を届出した場合、60時間を超えると罰則が科されるということです。

とはいえ、最大の労働時間を書いとけばいいというものではありません。

会社として目標を持って適正な時間を定めましょう。

①「起算日」
②「1年の法定労働時間を超える時間数と休日労働の時間数を合算した時間数」
③「1年の所定労働時間を超える時間数と休日労働の時間数を合算した時間数」
④「限度時間を超えた労働に係る割増賃金」

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 特別条項_1年の労働時間.jpg

①『起算日』
特別条項付き36協定の有効日を記入します。
何もなければ一般の36協定の有効期間と同一日に

『1年の法定労働時間を超える時間数と休日労働の時間数を合算した時間数
360時間(1年単位の変形労働時間制は320時間)を超えて労働させる時間を記入します。最大は720時間です。
ここの時間には休日労働の時間は含みません。

『1年の所定労働時間を超える時間数と休日労働の時間数を合算した時間数
所定労働時間とは、「会社が決めている労働時間」です。
もし、会社の1日の労働時間が8時間未満の場合は記入する必要があります。

例)
・1日の所定労働時間「7時間30分」
・1年の所定労働日数240日の場合

1日30分が法定外の残業時間になるので、「30分×240日=120時間」となり、840時間(720時間+120時間)が「1年の所定労働時間」を超える時間数の限度時間となります。

『限度時間を超えた労働に係る割増賃金』
1ヵ月の時と同様、360時間(320時間)を超えた時間外労働が発生した場合は「なるべく25%を超える割増賃金を払ってね」と政府から通達が出ています。(努力義務といいます)
つまり努力義務は「義務」ではないので、25%でもOKです。ここの時間数も休日労働の時間は含みません。

「限度時間を超えて労働させる場合における手続き」

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特別条項は「特別なことに対応する制限解除」です。そのため、特別条項を行う際は何らかの手続きを行うよう求められています。

ただ、どのような手続をとるべきかは法律に定めはありません。会社で検討したうえで記入してください。

記入例
  1. 労働者代表者に対する事前の申し入れ
  2. 労働者代表者との事前協議
  3. 労働者代表者に対する事前の通知
労サポくん

実際に特別条項を行う際は、手続きの記録を残した方が無難です。
36協定で届けている以上、労基署の調査で求められる場合があるからです。

「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」

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下記のいずれかの健康福祉確保措置を選択したうえで、具体的な措置内容を記入します。

なお、健康福祉確保措置がされなかった場合でも36協定自体は無効となりませんが、労働基準監督署による指導対象となります。

労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること
労働基準法第37条第4項に既定する時刻の間において労働させる回数を1箇月について一定回数以内とすること
就業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること
労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること
労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること
年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること
心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること
労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること
必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保健指導を受けさせること
その他

「時間外チェックボックス」

このチェックボックスはとても重要です。チェックをつけないと届出が成立しません。

なぜならチェックボックスは、法定限度時間である月100時間、2~6ヵ月平均80時間を超えないことを労使で合意したことを確認するためのものになるからです。

ここのチェックは必ずつけるようにしましょう。

①「労働者代表の署名・押印」②「選出方法」③「選出方法のチェックボックス」

『署名・押印』
管理職以外の一般職員に署名・押印してもらいます。

ただし、2021年4月改正で36協定とは別に時間外労働・休日労働について協定書を作成している場合は、押印の必要はありません。名前の明記だけで大丈夫です。
しかし現状は、別途協定書を作成している会社は少ないと思いますので、実務上は署名押印が必要になると思います。

②『選出方法』
代表者をどうやって選出したかを記入します。
「管理職からの指名」や「会社の意向に基づいての選出」などは認められません。

記入例と同じ「投票による選挙」など一般職の労働者で公平に決めた理由でなければいけません。

『選出方法のチェックボックス』
2021年4月からの新しく記述されました。

要は「ちゃんと話し合ってきめましたよね?」「労働者同士で正当に代表者を選びましたよね?」ということです。
そして必ずチェックを入れてください。チェックを入れないと作成した36協定は認められません。

お疲れさまでした。以上が特別条項付き36協定の書き方でした。

一般の36協定

ここまで特別条項付き36協定について解説してきましたが、特別条項を適用する場合は「一般の36協定」と「特別条項付き36協定」の2枚が必要になります。

ただし、特別条項を提出する場合は、一般の36協定に選出チェックボックスがないものを使用しますのでご注意を。(2021年4月改正

一般の36協定の書き方については下記の記事をご覧ください。

参考資料

最後に特別条項付き36協定を作成する上で参考になる資料をご紹介します。

以上、特別条項付き36協定の書き方でした。参考になれば幸いです。

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管理人:キタ コウタロウ
社会保険労務士・Webライター
きた社労士事務所代表
給与計算や社会保険業務など労務業務を約10年、人事労務部門のマネージャーを約2年経験。現在は社労士・Webライターとして独立。
人事系メディアを中心に執筆・監修を行っています。
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