【中途採用・パートの有休取得義務】いつからいつまで?【社労士が解説】

 

中途採用者やパートの有休取得義務が発生するのは、いつからいつまでですか?付与のタイミングがバラバラで混乱してきました。

労サポくん

そんな疑問にお答えします。

有休の取得が義務化されましたが、中途採用やパートがいつからいつまで取得しなければならないかご存知でしょうか。

おそらく「なんとなくしかわからない」という方が多いと思います。

そこで今回は、中途採用とパートの有休取得義務についてわかりやすく解説します。

有休取得義務は罰則もあるので、労務担当者はしっかり覚えておきましょう。

この記事でわかること
  • 中途採用者の有休義務
  • パートの有休義務
  • 有休の義務化の罰則
  • 年次有給休暇管理簿
有休5日取得は全社に義務化されてるよ
目次

有休5日取得義務は「誰に・いつから・どのように」

まず有休5日取得義務は「誰に・いつから・どのように」義務付けられるのか解説していきます。

誰に

10日有給休暇が付与されてた労働者

いつから

10日以上の有給休暇を新たに付与した日

どのように

会社が取得する日を指定

上記が有休5日の取得義務の原則要件です。

それを踏まえたうえで、中途とパートの取得義務について解説していきます。

中途採用の有休5日取得義務

中途採用者は、どのタイミングで有休が付与されるかで取得義務期間が変わってきます。

今回解説するのは下記の内容です。

  1. 通常の付与(入社してから6か月後に付与)
  2. 入社と同時に10日付与した場合
  3. 10月1日に入社し、同時に10日付与され、4月1日に11日付与された場合
  4. 10月1日に入社し、同時に5日付与され、4月1日に11日付与された場合
  5. 4月1日に5日付与され、7月(試用期間終了後)に5日付与された場合

通常の付与(入社してから6か月後に付与)

例)入社日:2019/4/1  付与日:2019/10/1(10日付与)

出典:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

通常、有給休暇は入社して6ヵ月後に付与されます。

そのため、入社してから6ヵ月後の日から1年間以内に有休を5日取得しなければなりません。

労サポくん

「日単位」なので、4月9日に入社した人が10月9日に付与されていれば、翌年の10月8日までに5日取得しなければいけません。

入社と同時に10日付与した場合

例)入社(2019/4/1)と同時に10日以上の年次有給休暇を付与した場合

出典:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

入社と同時に有給休暇を付与する場合は、入社日から取得義務が発生します。

上記の例だと、4月1日入社で10日付与されているので、翌年の3月31日までに5日有休を取得しなければならないということになります。

10月1日に入社し、同時に10日付与され、4月1日に11日付与された場合

例)2019/10/1に入社して10日有休を付与し、翌年度以降は4/1に有休を付与する場合

出典:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

上記の例では4月1日入社になっていますが、10月1日入社で同時に10日付与された場合も同じです。

この例の場合、10月1日から翌年3月31日までに7.5日取得すれば大丈夫です。

なぜなら、10月に付与された有休の取得義務期間と、翌年4月に付与された有休の取得義務期間が重複しているため、その期間を按分しているためです。

労サポくん

半日単位の有休は0.5日として義務日数に含めて構いません。

10月1日に入社し、同時に5日付与され、4月1日に11日付与された場合

例)2019/10/1に入社して5日有休を付与し、翌年度以降は4/1に有休を付与する場合

出典:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

4月一斉付与の会社で、4月~9月入社が10日付与、10月~3月入社が5日付与されるパターンです。

入社時は5日しか有休が付与されていないため、取得義務はまだ発生しません。

翌年4月になってから初めて10日以上付与されるので、4月から1年以内に5日取得する義務が発生します。

4月1日に5日付与され、7月(試用期間終了後)に5日付与された場合

入社(2019/4/1)と同時に5日の有給休暇が付与され、2019/6/30までに2日取得。2019/7/1にさらに5日の有給休暇が付与された場合

出典:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

有休の取得義務は、10日以上付与された2019年7月1日からになりますが、前倒しで2日取得していた場合です。

この場合は、10日のうち2日取得したものとみなして、残り3日を2020年6月30日までに取得すれば大丈夫です。

また、上記の例で4月一斉付与する場合は次の通りです。

出典:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

7月時点では有休を取得しておらず、翌年4月に一斉付与されるパターンです。

10日以上付与されたのが7月なので、7月1日~翌年6月30日までが5日の取得期限なのですが、1年目の基準日から9カ月目でまた付与されたので、4月1日からさらに5日の取得義務が発生しました。

この時の計算式としては「21ヵ月(9か月+12ヵ月)÷12ヵ月×5日=8.75日」となります。

なお、期間が重複して計算した結果、端数が出た場合は原則切り上げるルールになっており、取得義務日数は9日となります。

つまり、10日以上付与された2019年7月1日~2021年3月31日までに最低でも9日有休を取得しなければならないということです。

パートの有休5日取得義務

パート従業員の有休は、週の労働日数によって付与される日数が異なります。

出典:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

パート従業員に有休取得義務が発生するのは、10日以上付与された勤務年数に達した日からです。(太枠のところ)

例えば、週3日勤務のパート従業員は3年6ヵ月目に10日が付与されるので、そこから1年以内に5日取得する義務が発生します。

また、パートも4月1日に一斉付与している場合は、10日付与された時点から1年です。

労サポくん

有休の繰り越しで合計10日になっても取得義務は発生しません。あくまで10日付与されたタイミングから1年以内です。

有休取得義務化の罰則

従業員が年5日の有休取得ができなかった場合は、会社に対して1人つき30万円の罰金が科されます。

しかし、厚生労働省によると、違反していたとしても労働基準監督署がその是正に向けて丁寧に指導し、改善を図ってもらうとしています。

ただし、指導を受けても改善されなかったり、故意に違反をしていると罰金となる可能性があります。

指導を受けた場合は、年5日取得をはたすための対策を考えましょう。

※参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

まとめ

今回は、中途採用とパートの有休5日取得義務について解説しました。

中途入社やパートの有休管理は複雑になっています。

正社員とパートで付与日が異なる会社は、4月一斉付与に切り替えるなど管理する人事や総務がわかりやすい運用に変更するなど、対策を検討しましょう。

以上、ご担当者様の参考になれば幸いです。

労務担当者におすすめの書籍【PR】

社会保険や給与計算をミスした時にどう対処していいのかが事細かに書かれています。
実務経験豊富な著者の実体験をもとに書かれているので、参考になります。

こちらも宮武さんの著書です。社会保険の初心者向けに優しく解説されており、やるべき手続きが網羅されています。
「社会保険の手続き自体が何をどうしていいのかわからない」という方にはおすすすめです。
※様式は最新のものでない場合があります。

労務の仕事はExcelとWordは必ず使います。「とりあえず労務で使うことだけ教えてほしい」という方にはおすすめです。
「時給×労働時間の計算」有給休暇取得日数の年度集計」「就業規則の作成時のWord設定」など実務で役立つExcel・Word操作が習得できます。

就業規則の実務本です。厚生労働省が公表しているモデル就業規則の問題点を指摘し、判例に基づいた就業規則の本質が解説されています。労使トラブルを防止する就業規則を作成したい方は、ぜひお手に取ってください。

おすすめの事務用品【PR】

「時間計算」や「時給計算」ができる電卓の定番です。
給与計算業務を担当している方は持っていて損はしないでしょう。

封筒をとじる時にのりを使ってませんか?のりは手にくっつくし、ムラがあるとうまくくっつかないですよね。
そんな悩みを解消するのがこちらのテープのりです。
スッと線を引くだけで簡単に封筒を閉じることができるので、業務効率化ができます。

封筒を開ける時にカッターやハサミを使っていませんか?カッターは刃をしまい忘れると危ないし、ハサミはまっすぐ切れませんよね。
そんなとき便利なのがこのオートレターオープナーです。
封筒の開けたいところを滑らすだけできれいに封筒を開けることができます。手を切る心配もないので安心して使えます。

電話メモを付箋で書いている人におすすめのグッツです。
このスタンプは付箋に伝言メモを押せるという便利スタンプ。スタンプを押せば必要最低限のことしか書かなくていいので業務の効率化ができます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
管理人:キタ コウタロウ
社会保険労務士・Webライター
きた社労士事務所代表
給与計算や社会保険業務などの労務業務を10年経験。その後、社労士として独立。人事労務コンサルのほか、Webメディアの執筆・監修に力を入れている労務の専門家。
目次