ワクチン休暇の導入を検討しているのですが、導入方法や導入事例が知りたいです。
そんな悩みにお答えします。
「ワクチン休暇」とは、新型コロナワクチンを接種する時間の確保や、接種後の副反応に備える特別休暇のことです。
政府や経団連が導入を要請したこともあり、導入する企業が徐々に増えていますよね。
しかし、まだ導入していない企業にとっては「ワクチン休暇と有給休暇と何が違うのか」「どうやって導入していいのか」と疑問に思っている企業も少なくないと思います。
そこで今回は、ワクチン休暇の導入を検討している方に向けて、制度内容や導入方法・導入事例をわかりやすく解説していきます。
ワクチン休暇とは?
「ワクチン休暇」とは、従業員が新型コロナワクチンを接種する際に取得できる休暇です。
ワクチンの接種関連に限定して使用できる特別休暇で、企業によっては1日だけではなく、半日、時間単位など、柔軟に取得可能にしているところもあります。
導入に関しては明確なルールがないものの、河野大臣がワクチン休暇の導入を要請したことから、導入する企業が急速に増えており、企業の環境整備が急がれています。
ワクチン休暇が必要な理由
ワクチン休暇と聞いて「有給休暇を使って接種すればいいじゃないか」と思っている方もいらっしゃると思います。 ですが、ワクチン休暇の整備が必要な理由は明確にあります。
その理由は下記の3つです。
- ワクチン接種を分散させるため
- ワクチン接種で副反応がでる可能性があるため
- 家族の付き添いが必要になるケースがあるため
一つ一つ詳しく解説していきます。
ワクチン接種を分散させるため
多くの従業員は平日に働いているため、接種希望日が休日に集中する恐れがあります。
休日に集中してしまうと会場が混雑し、接種できるまで時間がかかるため、スムーズに接種ができません。
そのため、平日にワクチン接種ができるよう休暇を認めることで人を分散し、混雑を避けて時間をかけずに接種ができるようになります。
ワクチン接種で副反応がでる可能性があるため
新型コロナワクチンは、接種後に疲労や発熱、頭痛、筋肉や関節の痛みなどの症状が発症する恐れがあります。
人によっては当日だけではなく、翌日以降も体調が回復されない方もいらっしゃるでしょう。
そういった副反応に備え、従業員に休暇を認めることで安心してワクチン接種ができるようになります。
実際、ワクチン休暇を導入した企業の多くが、ワクチン接種日以外の日に副反応の療養日としてワクチン休暇を認めています。
家族の付き添いが必要になるケースがあるため
新型コロナワクチンは全国民が対象となるため、従業員だけではなくその家族もワクチン接種を行います。
上記でも述べましたが、ワクチン接種は副反応により、体調不良になる可能性がり、従業員が家族に付き添うケースも出てくるでしょう。
また、場合によってはワクチン接種当日も付き添いが必要になり、仕事を休まざるを得ないケースも出てくると思います。
そうした状況を配慮し、家族のワクチン接種日やその翌日などに休暇が取れるような環境が必要になります。
ワクチン休暇を導入するデメリット
従業員にとって「ワクチン休暇」を導入することは大きなメリットになります。
政府からの要請もあり、できるだけ早くに導入した方がよいでしょう。
とはいえ、企業側からしてみるとメリットだけではなく、デメリットもあるのは事実です。
考えられるデメリットは下記の通り。
- 就業規則の整備が必要
- ワクチンを接種したくない人との公平性がなくなる
- ワクチン休暇でワクチンを接種したことが周りに知れてしまう
後ほど解説しますが、もし新たにワクチン休暇として特別休暇を導入する場合は、就業規則の変更・周知が必要になります。
導入を決定した場合は、早急に就業規則を変更する必要があるため、従業員代表の意見書の準備や、取締役会の開催など人事・総務の負担が大きくなります。
また、ワクチンを接種したくない人との不公平感が生まれることは確かです。企業によっては公平性を保つためにワクチン休暇を無給とするところもあります。
加えて、従業員の中にはワクチンを接種したことを知られたくないという人も出てくるかもしれません。そういう人に配慮して、休暇ではなく出勤とみなすという対応も選択肢として考えられます。
ワクチン休暇の導入方法
ワクチン休暇を導入するには原則「就業規則に明記」が必要です。
ただし、就業規則の特別休暇の条項に「その他会社が必要と認めたとき」と記載がある場合は、就業規則の変更は必要ありません。
「その他会社が必要と認めたとき」を新型コロナワクチン接種及び副反応の療養期間として、従業員に周知することで就業規則を変更せずにワクチン休暇を導入することが可能です。
それを踏まえたうえで、ワクチン休暇の導入について解説します。
特別休暇として導入する
ワクチン休暇は有給休暇とは別の「特別休暇」です。
特別休暇とは、就業規則に条件を明記することで従業員が条件に該当すると有給休暇とは別に取得することができる休暇のことをいいます。
例えば、慶弔休暇、結婚休暇、リフレッシュ休暇、ボランティア休暇などが特別休暇に該当する休暇です。
特別休暇としてワクチン休暇を導入する場合、下記のような事項を事前に決める必要があります。
検案事項 | 内容 |
---|---|
対象者 | 正社員だけではなく、契約社員やパート・アルバイトも適用するかどうか |
取得条件 | どのような条件で取得できるか 例) ・新型コロナワクチン接種及び副反応の療養期間 ・ 家族の新型コロナワクチン接種及び副反応療養期間付き添いのため |
取得期間および単位 | ・何日間取得できるか ・半休取得できるか ・時間単位で取得できるか など |
取得制限 | 退職者や長期欠勤者、または育児休業中の人の対応など |
取得期限 | いつまでに何回ワクチン休暇を使えるか |
有給・無給 | ワクチン休暇取得日を有給扱いにするか、無給扱いにするか |
これらの条件を事前に決めたうえで、ワクチン休暇の導入を考えたほうがよいでしょう。
取得期限については「ただし、ワクチン供給状況や各自治体での接種状況に応じて延長する場合がある」と明記した方が柔軟に対応できます。
専門家を呼んで導入する(東京の中小企業のみ)
ワクチン休暇は、大企業だけではなく中小企業も導入が可能です。
東京都だけではありますが、2021年6月16日から2022年2月10日まで、ワクチン休暇の導入を検討している中小企業に対して無料で専門家(社会保険労務士)を派遣し、助言などを行ってくれます。
導入を検討している中小企業の担当者様はぜひご利用ください。
ワクチン休暇の導入事例
「ワクチン休暇」は大企業を中心にすでに導入している企業が多数あります。
今回はその中で5つの企業の導入事例をご紹介します。
アサヒグループホールディングス株式会社
アサヒグループホールディングス株式会社は、従業員自身のワクチン接種時及び、同居家族のワクチン接種の付き添い時に出勤扱いとする就労免除を認めており、実質休暇日数は定められていません。
また、接種後の体調不良などにより就業が困難な場合には1日の特別有給休暇を取得することを認めています。
アフラック
アフラックは、新型コロナワクチン接種のための移動時間や副反応による療養に対し、最大12日の特別休暇の使用を認めています。
また、会社に接種を知らせたくない従業員に配慮し、通常勤務時間の社用外出扱いにしたり、年次有給休暇での休暇取得も可能としています。
大日本印刷(DNP)
大日本印刷は、ワクチン接種日として2日の特別有給休暇を付与しています。
さらに、接種後2日以内に副反応があった場合は、直近2年間で失効した年次有給休暇の取得も可能としました。
また、ワクチン接種会場へ移動するための交通費用は全額会社負担としています。
三井物産
三井物産は、就業時間内にワクチン接種を受けることを認め、接種時も出勤扱いにするとしています。就業免除になるため、接種日に特別有給休暇はありません。
副反応が起きた場合は、接種翌日に最大1日の特別休暇を付与するとしています。
Yahoo! JAPAN
Yahoo! JAPANは、ワクチン接種の特別有給休暇の他、家族が新型コロナワクチンを接種する際の付き添いを理由に「積立有給休暇」を取得できることが特徴です。
積立有給休暇は、傷病や介護などの休業に備え、有効期間を過ぎた有給休暇を、最大30日まで失効させずに積み立てることができる休暇制度のことをいいます。
まとめ
「ワクチン休暇」は従業員が新型コロナワクチンを接種する際に取得できる休暇です。 政府、経団連からの要請もあり、ワクチン休暇の導入は各企業で急務になっています。
明確なルールがないため対象者や日数、条件などは企業で決定しなければなりません。迷った時は、本記事の導入事例を参考にしていただければと思います。
最後になりますが、ワクチン接種はあくまで任意であり、強制ではありません。
副反応を起こすこともあることから、接種を望まない方もいらっしゃいます。
上司や同僚がワクチン接種を強制したり、接種を受けない人に差別的な言動を行う可能性もあります。
そのようなことのないよう、ハラスメント対策も同時に考えておきましょう。
以上、参考にしていただければ幸いです。
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