【休憩が取れなかった従業員の勤怠管理】違法?残業代は?そんな疑問が解決

 

休憩が取れなかった従業員がいます。
勤怠をどうすればいいのかわかりません。

労サポくん

そんな疑問にお答えします。

会社の勤怠を管理していると、従業員から「忙しくて休憩が取れなかった」と言われたことありませんか?

おそらく多くの方は「よくある」というのが答えだと思います。

しかし、休憩が取れなかったときの対処法は厚生労働省で公表はされていません。

そのため、会社で運用を取り決める必要があります。

そこで今回は、法律と実務の観点から「休憩が取れなかった人の勤怠管理」について解説します。

この記事でわかること
  • 休憩が取れなかったら違法なのか
  • 休憩が取れなかった日の残業代
  • 休憩が取れなかった日の勤務表の書き方
忙しくて休憩が取れない時あるよね
目次

休憩が取れなかったら違法なのか

原則は、休憩が取れなかったら違法です。

しかし、現場では「休憩を取りたくないわけじゃなく、取れなかっただけ」というのが現実でしょう。

そのため、基本的に労働時間として認めてあげましょう。なぜなら、会社は労働した分の賃金を払う義務があるからです。もし、払わなければ未払い賃金が発生します。

たとえば、9時から18時で勤務したときに休憩が取れなかった場合、「1時間の休憩分を労働時間として認めて9時間にする」ということです。

「休憩が取れなかった」という理由で、労働した分を労働していなかったことにする方が問題となります。

確かに休憩を取らせないのは違法ですが、労働した分を払わないのも違法です。

従業員が休憩もせずに働いてくれたのですから、その分は払ってあげましょう。

労サポくん

休憩が取れなかった場合は、従業員の健康に支障をきたすおそれがあります。早急に休憩時間を確保できる労働環境の整備が必要です。

※参考:静岡労働局「労働局Q&A 休憩関係

休憩が取れなかった日の残業代

休憩が取れなかった時間は、その分を労働時間とみなします。
参考:静岡労働局「労働局Q&A 休憩関係

そのため、休憩なしで定時まで働いた日は休憩時間分を残業していることになるため、休憩が1時間の場合は労働時間が9時間となり、1時間の割増賃金が発生します。

このように、休憩時間分を労働時間としたときに法定労働時間を超えた場合は、残業代を払う必要があるということです。

休憩が取れなかった日の勤務表(勤怠システム)の書き方

最終的に勤怠を確定させるには、勤務表が必要になります。

では「休憩を取れなかった日の勤怠表をどのようにつければいいのか」疑問になると思います。

ここからは、私の経験してきた勤務表のつけ方をご紹介していきます。正解はありませんので、参考程度にご覧ください。

エクセルの勤務表

エクセル勤務表は、休憩を取れなかった日は「休憩の数式を変えて算出」するようにしていました。

おそらくエクセル勤務表をお使いの会社であれば、休憩を自動計算させているところが多いと思います。

そのため、休憩時間の数式を変更したり、休憩を「0」に変えたりして労働時間を無理やり休憩時間分増やすやり方が一般的でしょう。

また、休憩を取れなかった日には備考か理由の欄に「多忙のため休憩取れず」など理由を必ず書くようにしましょう。

タイムカード

タイムカードの場合は、休憩を取れなかった日に手書きで休憩を取れなかったことを書きます。

最終的にデータを取り込む人が「この日は休憩が取れなかったんだな」とわかる方法で運用しましょう。

タイムカードの内容を集計する際は、エクセルや既存のソフトで集計すると思います。集計が終わったら、休憩を取れなかった日を「手入力」や「修正」で勤怠データを確定させます。

勤怠システム

勤怠システムはシステムによって以下のように休憩が控除されていると思います。

  1. 勤務時間が6時間を超えたら自動的に休憩時間が控除される
  2. 勤務時間が12時から13時にまたがったら自動的に休憩時間が控除される
  3. 休憩しなかった日にチェックを入れると休憩時間を控除しなくなる
  4. 自分で休憩時間を入れる、または修正できる

③、④は休憩時間を除くことができるので問題ありません。問題は①、②の休憩が自動で控除されるパターンです。

おそらく多くの会社は①か②のパターンだと思います。

①か②場合は、まずシステム会社に問い合わせて休憩を取れなかった日の対処法を確認しておきましょう。

問い合わせたうえで、どうしても自動的に休憩時間が控除される場合には、「終業時間を1時間伸ばす方法」です。

しかし前提として、本来はやってはいけません。ですが、正確な労働時間を算出するために終業時間を1時間伸ばして、備考に「休憩が取れなかったため終業時間を修正」などと理由を書いて確定させることで何とか計算していました。

これは苦肉の策です。時間を変えた理由は必ず書き残してください。

まとめ

今回は、休憩を取れなかった日の対応を解説しました。

休憩を取らなかったら確かに違法です。ですが労働した分の賃金を払わないのも違法です。

従業員が休憩もせずに働いてくれたのですから、その分は給与を支払ってあげましょう。

ただし、休憩が取れなかった場合は、従業員の健康に支障をきたすおそれがあります。早急に休憩時間を確保できる労働環境の整備が必要です。

休憩を取れなかった理由を聞いて、今後の対策を行いましょう。

この記事が労務担当者様の役に立てると幸いです。

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管理人:キタ コウタロウ
社会保険労務士・Webライター
きた社労士事務所代表
給与計算や社会保険業務などの労務業務を10年経験。その後、社労士として独立。人事労務コンサルのほか、Webメディアの執筆・監修に力を入れている労務の専門家。
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