【有給休暇5日取得義務Q&A】産休・育休・退職者などイレギュラー対応まとめ

 

産休・育休や退職した従業員も年5日有休を取得させなければいけないんでしょうか?

労サポくん

そんな疑問にお答えします。

有給休暇の取得が義務化されてから、原則5日取得しなければ罰則が科されるようになりました。

しかし従業員によっては、産休・育休に入っていたり、私傷病で長期休業している方や退職される方もいらっしゃるでしょう。

そんな状況で最終的に労務担当者はこう思っているはずです。「どうしても5日取らせなきゃダメ?」と。

そこで今回は、有休5日取得義務でイレギュラーが発生した場合の対応をQ&A方式で回答していきます。

有休5日取得義務で悩んでいる方はぜひご覧ください。

この記事で分かること
  • 産休・育休の有休取得義務の対応
  • 長期休業の有休取得義務の対応
  • 半休・時間休のカウント
  • 特別有休と有給休暇の義務
  • 在席出向者の有休取得義務の対応
中小企業も有休の5日取得は義務化されてるよ
目次

有給休暇5日取得義務Q&A【休業】

有給休暇5日取得義務の様々な対応をQ&A方式で解説していきます。

産休に入る予定の従業員が有休5日取得していない場合はどうなりますか?

現段階では、産休に入る前に5日取得する必要があります。従業員と相談のうえ取得するよう努めてください。ただし、基準日からの1年間がすべて産休・育休の期間である場合は、5日間取得義務の対象にはなりません。

育児休業が明けた従業員には有休5日取得させる義務がありますか?

育休が明けてから5日の取得義務が発生します。

ただし「育休が明けて取得期限までに3日しかない」など、取得義務期間が5日未満の場合は取得させる必要はありません。

また、有休付与日から1年間育休で休業している場合についても、5日取得義務は発生しません。

※参考:厚生労働省「改正労働基準法に関するQ&A

私傷病で長期休業している従業員にも5日取得させる必要がありますか?

休業期間中の従業員に10日以上付与された場合でも、原則5日の有休取得義務が発生します。従業員が休業期間に有休の取得を希望した場合は、休業期間中の一部を有給休暇にあてることが可能です。

ただし、1年間休業する場合は5日の取得義務は発生しません。

新型コロナの影響で休業している場合でも5日取得義務は発生しますか?

現状では例外が公表されていないため、原則5日の取得義務は発生します。

また、休業日を有給休暇に振替ることはできません。新型コロナの休業は、会社が「労働の義務がない日」と定めた日になります。そのため、有給休暇の特性である「労働の免除」ができないため振替はできません。

有給休暇5日取得義務Q&A【半日・時間単位】

半日単位で取得した有休は、有休取得義務の5日にカウントすることはできますか?

半休を0.5日としてカウントすることはできます。

なお、従業員の希望を聞いたうえで指定した日を半休とすることが前提です。

時間単位の有休を有休取得義務の5日にカウントすることはできますか?

時間単位の有給休暇は5日の取得義務日数にカウントすることは認められていません。

※参考:厚生労働省「改正労働基準法に関するQ&A

有給休暇5日取得義務Q&A【罰則】

有休5日取得義務で、どんなことをしたら罰則になりますか?
  1. 年5日の有給休暇を取得させなかった場合
  2. 従業員が請求する日に有給休暇を与えなかった場合
  3. 就業規則に記載していない場合

どれも30万円以下の罰金が科されます。

なお、①・②について労働基準監督署は、原則その是正に向けて丁寧に指導し、改善を図ってもらうとしています。

参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

1人でも有休5日取れなかった従業員がいたら、会社に罰金30万円以下の罰金が科されるということですか?

1人につき30万円以下の罰金です。

例えば、有休を5日取れなかった従業員が5人いた場合は、150万円以下の罰金になります。

参考:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説

有給休暇5日取得義務Q&A【その他】

会社が独自に設けている特別休暇を有給5日に義務日数としてカウントすることはできますか?

特別休暇を有給休暇とみなすことはできません。

例えば、新型コロナの感染で特別有給休暇を取得させている場合でも、別途有給休暇を取得させなければいけません。

在籍出向中の従業員については出向先と出向元どちらが有休を取得させる義務を負いますか?

在籍出向者の取り扱いについては、労働基準法でも規定にないため、出向先・出向元・出向者の3者間で取り決めていただくことになります。

※参考:厚生労働省「改正労働基準法に関するQ&A

期の途中で移籍出向した場合、どのような取り扱いになりますか?

以下の3つの条件を満たす場合は、出向前に取得した有休を継承できます。

  1. 出向時点において出向元で付与されていた有休日数と、付与された基準日を出向先に継承すること
  2. 出向日から6ヵ月以内に、従業員に対して 10 日以上の有給休暇を出向先で付与すること(法律通り入社して6ヵ月以内に付与されていること)
  3. 出向前に、従業員が出向元で年5日の年次有給休暇を取得していない場合、不足している日数を期限以内に取得する旨を出向契約に明記していること

※参考:厚生労働省「改正労働基準法に関するQ&A

契約社員から正社員に転換した場合の対応はどうすればいいですか?

雇用形態の切り替えがあったとしても、引き続き付与日から1年以内に年5日の取得が必要です。

管理職も年5日の取得は必要ですか?

管理職についても、年5日の取得義務の対象となります。

なお、取締役兼営業部長や取締役兼工場長など、労働契約を結んでいる労働者性の強い兼務役員は、有給休暇が付与されるため、年5日の取得義務を負います。

退職が決まっている従業員も年5日取得義務を負いますか?

やむを得ない事情がない限り、退職日までに5日取得させるようにしましょう。

ただし、退職者に対し確実に取得させる義務まではないと考えられます。

まとめ

従業員の状況は人それぞれで、すべての人に有休5日を取得させるのはなかなか難しい場合があります

それぞれの業況に応じて有休取得できる対策を講じるようにしましょう。

なお、中途採用者やパートの5日取得義務については下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

以上、ご担当者様の参考になれば幸いです。

労務担当者におすすめの書籍【PR】

社会保険や給与計算をミスした時にどう対処していいのかが事細かに書かれています。
実務経験豊富な著者の実体験をもとに書かれているので、参考になります。

こちらも宮武さんの著書です。社会保険の初心者向けに優しく解説されており、やるべき手続きが網羅されています。
「社会保険の手続き自体が何をどうしていいのかわからない」という方にはおすすすめです。
※様式は最新のものでない場合があります。

労務の仕事はExcelとWordは必ず使います。「とりあえず労務で使うことだけ教えてほしい」という方にはおすすめです。
「時給×労働時間の計算」有給休暇取得日数の年度集計」「就業規則の作成時のWord設定」など実務で役立つExcel・Word操作が習得できます。

就業規則の実務本です。厚生労働省が公表しているモデル就業規則の問題点を指摘し、判例に基づいた就業規則の本質が解説されています。労使トラブルを防止する就業規則を作成したい方は、ぜひお手に取ってください。

おすすめの事務用品【PR】

「時間計算」や「時給計算」ができる電卓の定番です。
給与計算業務を担当している方は持っていて損はしないでしょう。

封筒をとじる時にのりを使ってませんか?のりは手にくっつくし、ムラがあるとうまくくっつかないですよね。
そんな悩みを解消するのがこちらのテープのりです。
スッと線を引くだけで簡単に封筒を閉じることができるので、業務効率化ができます。

封筒を開ける時にカッターやハサミを使っていませんか?カッターは刃をしまい忘れると危ないし、ハサミはまっすぐ切れませんよね。
そんなとき便利なのがこのオートレターオープナーです。
封筒の開けたいところを滑らすだけできれいに封筒を開けることができます。手を切る心配もないので安心して使えます。

電話メモを付箋で書いている人におすすめのグッツです。
このスタンプは付箋に伝言メモを押せるという便利スタンプ。スタンプを押せば必要最低限のことしか書かなくていいので業務の効率化ができます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
管理人:キタ コウタロウ
社会保険労務士・Webライター
きた社労士事務所代表
給与計算や社会保険業務などの労務業務を10年経験。その後、社労士として独立。人事労務コンサルのほか、Webメディアの執筆・監修に力を入れている労務の専門家。
目次