【国民年金第3号】失業保険の給付制限期間をさかのぼって3号に適用させる方法

 

従業員の奥さんが失業保険の給付制限で2ヶ月無給で過ごしたんですが、その期間に健保の扶養に入れなくて、第3号にも入れなかったんです。さかのぼって3号に適用できるんですか?

労サポくん

結論を言うと、できます。やり方を解説しますね。

奥さん(旦那さん)が会社を退職して、扶養に入れようと思ったら「失業保険を受け終わるまで扶養に入れません」と健保に言われますよね。

ただ、失業保険は自己都合で退職すると、2か月間の給付制限があるため、失業保険がもらえない期間があります。

その期間は、扶養に入っていないため、国民健康保険や国民年金に加入している場合がほとんどでしょう。

しかし国民年金に関しては、さかのぼって適用できるため、給付制限期間中に支払った国民年金保険料を還付してもらうことができます。

そこで今回は、会社の労務担当者向けに失業保険の給付制限期間をさかのぼって3号に適用させる方法を解説します。

この記事でわかること
  • さかのぼって3号を適用させる方法
  • 国民年金の還付
制度を理解して、会社の担当者からアドバイスしよう
目次

失業保険の給付制限期間をさかのぼって3号に適用させる方法

従業員の被扶養者が会社を辞めて失業保険をもらう場合、健康保険の扶養は失業保険をもらい終わるまで入れないため、その間は国民健康保険や国民年金に加入することになります。

しかし、会社を自己都合で退職した場合は、2か月間の給付制限があるため給付を受けられません。実はこの給付制限期間は、年金の規定上、国民年金第3号の対象期間にすることが可能です。

ただし、健康保険の扶養に入らない限り国民年金第3号被保険者になれないため、さかのぼって適用させる必要があります。

手続きは、被扶養者が失業保険を受け終わった後に行います。用意するものは下記のとおりです。

  1. 失業保険受給前の「国民年金第3号被保険者該当届」
  2. 失業保険受給開始時の「国民年金第3号被扶養者非該当届」
  3. 失業保険受給後の「国民年金第3号被保険者該当届」
  4. 雇用保険受給資格者証の写し

以上、4つの書類を失業保険受給後に年金事務所へ提出します。

それぞれの書類を詳しく解説します。

失業保険受給前の「国民年金第3号被保険者該当届」

被扶養者が令和2年9月30日に退職した場合の例です。

失業保険受給前の「国民年金第3号被保険者該当届」

例えば9月30日付で退職した場合、退職日の翌日を記入し、理由から「離職」を選択して、3号該当届を作成します。

失業保険受給開始時の「国民年金第3号被扶養者非該当届」

失業保険受給開始時の「国民年金第3号被扶養者非該当届」

次に、給付制限期間を終えて、失業保険の受給開始を開始した日を記入します。理由は「その他」で「失業保険受給のため」とした3号非該当届を作成します。

業保険受給後の「国民年金第3号被保険者該当届」

業保険受給後の国民年金第3号被保険者該当届

最後に、失業保険の受給が終わった日の翌日を記入し、理由は「その他」で「失業保険受給終了のため」と書いて作成します。

雇用保険受給資格者証の写し

雇用保険受給資格者証

雇用保険受給者証の写しは、受給期間満了年月日を証明するものとして必要になります。必ず受給満了期間を過ぎてから4つの書類を提出してください。

以上が失業保険の給付制限期間を3号に適用させる方法です。従業員に説明する際は、詳細を説明してから届け出るようにしましょう。

すでに国民年金保険料を払ってしまっていた場合

給付制限期間中にすでに国民年金保険料を払ってしまっていた場合でもさかのぼって3号が認められれば本人に還付されます。

還付になった場合は、上記のような用紙が届きます。

振込口座など必要事項を記入すれば、後日払ってしまった国民年金保険料が還付されるのでご安心ください。

まとめ

失業保険を受給するからという理由で国民年金3号被保険者になれないというは間違いです。今回紹介した4枚の書類を提出すればさかのぼって適用されます。

今後、従業員の配偶者が退職後に失業保険を受給して、その後専業主婦(主夫)となる方がいる場合は、さかのぼって手続きしましょう。

従業員のほとんどは制度を知らないため、労務担当者から提案することが大切です。

以上、担当者のお役に立てれば幸いです。

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管理人:キタ コウタロウ
社会保険労務士・Webライター
きた社労士事務所代表
給与計算や社会保険業務などの労務業務を10年経験。その後、社労士として独立。人事労務コンサルのほか、Webメディアの執筆・監修に力を入れている労務の専門家。
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