社会保険料を間違って徴収してしまいました・・・。
返金方法を教えてください。
そんな悩みにお答えします。
社会保険料を間違えて徴収してしまうと、本人に返金しなければなりません。
初めての間違った方は「どうやって返金すればいいの?」と悩んでいませんか。
そこで今回は、社会保険料を誤って徴収した従業員に返金する方法をご紹介します。
社会保険料を返金する方法
社会保険料を返金する方法は、3つあります。
- 現金で返す
- 振込で返す
- 給与で相殺する
現金や振込は、給料とは別に本人に払うだけです。伝票を起票して、経理から振込んでもらうのが通常の流れでしょう。
しかし、もっとも多いパターンは「給与で相殺する」だと思います。詳しく解説します。
間違った社会保険料を給与で相殺する方法
間違った社会保険料を給与で相殺する方法は「社会保険料をマイナス控除する」方法が一般的です。
たとえば、産休に入った従業員の社会保険料を間違って徴収しまい、翌月の給与で相殺する場合は以下のように対応します。
産休中の従業員に返金する場合
誤って徴収した社会保険料
- 健康保険料:12,792円
- 厚生年金保険料:23,790円
◆訂正方法
基本給:0円
健康保険料:0円
厚生年金保険料:0円
健康保険料訂正:-12,792円
厚生年金保険料訂正:-23,790円
所得税訂正:260円
ポイントとなるのは「訂正」という別項目でマイナス控除にすることです。
別の項目で訂正する理由は、従業員本人が返金されたことがわかりやすく、支給控除一覧や賃金台帳を見た時にわかりやすくなります。
また、会計処理を行う時にも社会保険料訂正分としてわかりやすくなるのもメリットです。
訂正項目がない場合は「その他控除」や「社会保険料の項目にプラスする」でも問題ありませんが、給与明細書のお知らせ文に内訳を記載した方がよいでしょう。
また、社会保険料は所得税にも影響するため、社会保険料を控除していない場合の差額を徴収します。
このように社会保険料を給与で返金する場合は「マイナス控除」で対応可能です。
逆に社会保険料を徴収し忘れた場合は、従業員宛てに請求書を発行して振込してもらうか、給与計算で「訂正」や「その他控除」項目を使って徴収しましょう。
「マイナス控除」については下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
社会保険料を間違った場合の年末調整(源泉徴収票訂正)
社会保険料の誤りは年末調整にも関わることです。給与計算で相殺した場合は、給与計算システムで自動的に社会保険料が集計されるので、問題ないと思います。
しかし、現金や振込で返金・徴収を行った場合は、給与計算システムで自動集計されません。
そのため、給与計算システムを使用している場合は、以下のいずれかの対応になるでしょう。
- 社会保険料を調整して再年調をする
- 給与計算システムの「帳簿を修正できる機能」を使って社会保険料を調整する
- エクセルで正しい源泉徴収票を発行して、本人に確定申告してもらう
①の再年調は、給与計算システムで社会保険料が調整できる場合です。
②は現金や振込で社会保険料を返金・徴収した場合で、給与計算システムの「帳簿を修正する機能」を使うやり方です。
③給与計算システムを使わず、エクセルで正しい金額の源泉徴収票を作る場合です。正しい金額で本人に確定申告してもらうことで、年末調整が間違っていても税金は正しく計算できます。
現金や振込で社会保険料を返金・徴収した場合は、給与計算システムに情報を入れないと、給与計算システムから正しい源泉徴収票が発行できなくなるので注意しましょう。
社会保険料を間違わないための対策
間違いは誰にでもありますが、今後社会保険料を間違わないためにも、どのような対策が考えられるかをご紹介します。
- 納付書を見る
- チェック表を作る
- 給与計算システムを導入する
納付書を見る
健康保険料や厚生年金保険料の納付期限前には、必ず納付書が送られてきます。
できるだけ、給与確定前に送られてきた納付書を見て、個人負担分と会社負担分の合計を確認しましょう。
従業員から控除した保険料と会社負担分の合計が納付額の金額と合っていれば社会保険料が正しく控除されています。(社会保険の届出が正しくされていることが前提です)
また、加入している健保によっては「被保険者異動増減表」が送られてくる場合があります。
増減表を見て、社会保険料の徴収が開始・停止する従業員を確認してから給与を確定すれば間違うことはありません。
チェック表を作る
給与計算の時にチェック表を作成するのは有効です。
チェック表では、以下の内容を確認することができます。
- 退職者の保険料を2ヶ月分徴収しているか
- 産休に入った人はいるか
- 育休から復帰した人はいるか
- 料率が変更になっていないか
上記のチェック表だと「ある」か「ない」かだけ判断すればいいので、簡単にミスを防ぐことが可能です。
給与計算システムを導入する
給与計算システムを導入していない場合は、導入することで格段に給与ミスが少なくなります。
基本的に社会保険料の計算のほか、法改正の対応も自動的に行ってくれるため、よほどの事情がない限り導入をおすすめします。
もし、検討中の場合は「人事労務freee」がおすすめです。
freeeは上場企業が運営しており、クラウド給与計算システムシェアNo.1の実績があるシステムです。
「給与計算システム使ってみようかな」と思っている方は、下記のホームページを一度ご覧ください。
まとめ
社会保険料のミスは、給与計算を担当していれば一度は経験します。
誰にでも間違いありますが、再度起こさないように対策することが大切です。
何が原因で間違ったのか振り返ってしっかり対策をしておきましょう。
以上、社会保険料を間違った場合の返金方法でした。ご担当者様の参考になれば幸いです。
社会保険や給与計算をミスした時にどう対処していいのかが事細かに書かれています。
実務経験豊富な著者の実体験をもとに書かれているので、参考になります。
こちらも宮武さんの著書です。社会保険の初心者向けに優しく解説されており、やるべき手続きが網羅されています。
「社会保険の手続き自体が何をどうしていいのかわからない」という方にはおすすすめです。
※様式は最新のものでない場合があります。
労務の仕事はExcelとWordは必ず使います。「とりあえず労務で使うことだけ教えてほしい」という方にはおすすめです。
「時給×労働時間の計算」有給休暇取得日数の年度集計」「就業規則の作成時のWord設定」など実務で役立つExcel・Word操作が習得できます。
就業規則の実務本です。厚生労働省が公表しているモデル就業規則の問題点を指摘し、判例に基づいた就業規則の本質が解説されています。労使トラブルを防止する就業規則を作成したい方は、ぜひお手に取ってください。
「時間計算」や「時給計算」ができる電卓の定番です。
給与計算業務を担当している方は持っていて損はしないでしょう。
封筒をとじる時にのりを使ってませんか?のりは手にくっつくし、ムラがあるとうまくくっつかないですよね。
そんな悩みを解消するのがこちらのテープのりです。
スッと線を引くだけで簡単に封筒を閉じることができるので、業務効率化ができます。
封筒を開ける時にカッターやハサミを使っていませんか?カッターは刃をしまい忘れると危ないし、ハサミはまっすぐ切れませんよね。
そんなとき便利なのがこのオートレターオープナーです。
封筒の開けたいところを滑らすだけできれいに封筒を開けることができます。手を切る心配もないので安心して使えます。
電話メモを付箋で書いている人におすすめのグッツです。
このスタンプは付箋に伝言メモを押せるという便利スタンプ。スタンプを押せば必要最低限のことしか書かなくていいので業務の効率化ができます。