【社会保険料を間違った場合の返金方法】給与計算・年末調整の対応を解説

 

社会保険料を間違って徴収してしまいました・・・。
返金方法を教えてください。

労サポくん

そんな悩みにお答えします。

社会保険料を間違えて徴収してしまうと、本人に返金しなければなりません。

初めての間違った方は「どうやって返金すればいいの?」と悩んでいませんか。

そこで今回は、社会保険料を誤って徴収した従業員に返金する方法をご紹介します。

この記事でわかること
  • 社会保険料の返金方法
  • 給与計算の対処法
  • 年末調整の対処法
  • 社会保険料を間違わないための対策
間違いは誰にでもあるよ
目次

社会保険料を返金する方法

社会保険料を返金する方法は、3つあります。

  1. 現金で返す
  2. 振込で返す
  3. 給与で相殺する

現金や振込は、給料とは別に本人に払うだけです。伝票を起票して、経理から振込んでもらうのが通常の流れでしょう。

しかし、もっとも多いパターンは「給与で相殺する」だと思います。詳しく解説します。

間違った社会保険料を給与で相殺する方法

間違った社会保険料を給与で相殺する方法は「社会保険料をマイナス控除する」方法が一般的です。

たとえば、産休に入った従業員の社会保険料を間違って徴収しまい、翌月の給与で相殺する場合は以下のように対応します。

産休中の従業員に返金する場合

誤って徴収した社会保険料

  • 健康保険料:12,792円
  • 厚生年金保険料:23,790円

訂正方法
基本給:0円
健康保険料:0円
厚生年金保険料:0円
健康保険料訂正:-12,792円
厚生年金保険料訂正:23,790円

所得税訂正260円

ポイントとなるのは「訂正」という別項目でマイナス控除にすることです。

別の項目で訂正する理由は、従業員本人が返金されたことがわかりやすく、支給控除一覧や賃金台帳を見た時にわかりやすくなります。

また、会計処理を行う時にも社会保険料訂正分としてわかりやすくなるのもメリットです。

訂正項目がない場合は「その他控除」や「社会保険料の項目にプラスする」でも問題ありませんが、給与明細書のお知らせ文に内訳を記載した方がよいでしょう。

また、社会保険料は所得税にも影響するため、社会保険料を控除していない場合の差額を徴収します。

このように社会保険料を給与で返金する場合は「マイナス控除」で対応可能です。

労サポくん

逆に社会保険料を徴収し忘れた場合は、従業員宛てに請求書を発行して振込してもらうか、給与計算で「訂正」や「その他控除」項目を使って徴収しましょう。

「マイナス控除」については下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

社会保険料を間違った場合の年末調整(源泉徴収票訂正)

社会保険料の誤りは年末調整にも関わることです。給与計算で相殺した場合は、給与計算システムで自動的に社会保険料が集計されるので、問題ないと思います。

しかし、現金や振込で返金・徴収を行った場合は、給与計算システムで自動集計されません。

そのため、給与計算システムを使用している場合は、以下のいずれかの対応になるでしょう。

  1. 社会保険料を調整して再年調をする
  2. 給与計算システムの「帳簿を修正できる機能」を使って社会保険料を調整する
  3. エクセルで正しい源泉徴収票を発行して、本人に確定申告してもらう

①の再年調は、給与計算システムで社会保険料が調整できる場合です。

②は現金や振込で社会保険料を返金・徴収した場合で、給与計算システムの「帳簿を修正する機能」を使うやり方です。

③給与計算システムを使わず、エクセルで正しい金額の源泉徴収票を作る場合です。正しい金額で本人に確定申告してもらうことで、年末調整が間違っていても税金は正しく計算できます。

労サポくん

現金や振込で社会保険料を返金・徴収した場合は、給与計算システムに情報を入れないと、給与計算システムから正しい源泉徴収票が発行できなくなるので注意しましょう。

社会保険料を間違わないための対策

間違いは誰にでもありますが、今後社会保険料を間違わないためにも、どのような対策が考えられるかをご紹介します。

  1. 納付書を見る
  2. チェック表を作る
  3. 給与計算システムを導入する

納付書を見る

健康保険料や厚生年金保険料の納付期限前には、必ず納付書が送られてきます。

できるだけ、給与確定前に送られてきた納付書を見て、個人負担分と会社負担分の合計を確認しましょう。

従業員から控除した保険料と会社負担分の合計が納付額の金額と合っていれば社会保険料が正しく控除されています。(社会保険の届出が正しくされていることが前提です)

また、加入している健保によっては「被保険者異動増減表」が送られてくる場合があります。

増減表を見て、社会保険料の徴収が開始・停止する従業員を確認してから給与を確定すれば間違うことはありません。

チェック表を作る

給与計算の時にチェック表を作成するのは有効です。

チェック表では、以下の内容を確認することができます。

  • 退職者の保険料を2ヶ月分徴収しているか
  • 産休に入った人はいるか
  • 育休から復帰した人はいるか
  • 料率が変更になっていないか

上記のチェック表だと「ある」か「ない」かだけ判断すればいいので、簡単にミスを防ぐことが可能です。

給与計算システムを導入する

給与計算システムを導入していない場合は、導入することで格段に給与ミスが少なくなります。

基本的に社会保険料の計算のほか、法改正の対応も自動的に行ってくれるため、よほどの事情がない限り導入をおすすめします。

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まとめ

社会保険料のミスは、給与計算を担当していれば一度は経験します。

誰にでも間違いありますが、再度起こさないように対策することが大切です。

何が原因で間違ったのか振り返ってしっかり対策をしておきましょう。

以上、社会保険料を間違った場合の返金方法でした。ご担当者様の参考になれば幸いです。

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管理人:キタ コウタロウ
社会保険労務士・Webライター
きた社労士事務所代表
給与計算や社会保険業務などの労務業務を10年経験。その後、社労士として独立。人事労務コンサルのほか、Webメディアの執筆・監修に力を入れている労務の専門家。
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