給与計算の間違いが多い人がやるべきこと|事例を元に対策を解説

 

給与計算の間違いが多くて絶望しています。

労サポくん

そんな悩みを解決します。

給与計算の間違いが多くて悩んでいませんか?

著者も最初のころは間違いだらけで、給与計算を10年やっていても間違うことはあります。ただ、年々間違いが減ってきたのは事実です。

ではどうやって間違いを少なくしたのか。今回はその対策を事例を元に解説します。

この記事でわかること
  • 給与計算で間違う原因トップ3
  • 間違った具体的な事例
  • 具体的な給与ミス対策
目次

給与計算で間違う原因トップ3

まずは給与計算で間違う原因を突き止めなければ、また同じミスを繰り返します。

しかし、間違う原因は意外と単純なものが多くはないでしょうか。

その証拠として独自に集計した「給与計算の失敗アンケート」の結果をご覧ください。

上記は69名からアンケートを取った給与ミスの原因をグラフ化したものです。

ご覧の通り間違う原因のトップ3は

  1. 確認漏れ
  2. 入力ミス
  3. 計算ミス

要は「単純ミス」です。だからといって対策をしなくていいというものではありません。

ミスした経緯を深掘りして対策をしなければまたミスは繰り返されます。次は給与計算を間違う経緯と対策を解説します。

給与計算を間違う経緯と対策

給与計算を間違ったときは「間違った経緯」を分析すればしっかりとした対策ができます。

ここでは、ミスを以下4つに分類してそれぞれの対策を解説します。

  • 単純ミス
  • 残業代ミス
  • 手当支給漏れ
  • 社会保険料のミス

単純ミス

原因①
上司に早く仕事をするように促されて、慌てて入力してしまい、数字の入力をミスをした。

対策

チェックをしっかり行うことです。上司に話しかけられたり、電話が鳴ったりなど慌てて入力することがあるため、チェックを重視しましょう。

チェックはなるべく給与担当者以外の人がやると固定概念がないためミスの発見につながりやすくなります。

原因②
定期的な歩合給を別の社員につけてしまった。
名前が似ている人で、名字だけで判断してしまったため。

対策

給与の支給や控除は必ず「社員番号」を元に入力しましょう。名前の間違いはよくあるので注意です。

原因③
総額はExcelで自動的に計算するようになっていたが、Excelシートの変えてはいけない場所を気付かないうちにいじってしまい、正しい総勤務時間数が計算できなくなっていた。

対策

Excelの計算式が崩れてしまって給与計算を誤ってしまうことは本当によくあります。システムを導入していても細かい計算をExcelで行うことも少なくありません。

計算式はなるべく「保護」することをおすすめします。保護パスワードは必要ないので数式が変更されない対策をしましょう。

原因④
数字の6と9を間違えて、逆に入力して振込をしてしまった。

対策

振込時はなるべく手入力しないやり方で行うようにしましょう。

どうしても手入力で振込む場合は個人単位だけではなく、総額も合わせて確認するとミスはなくなります。

労サポくん

単純ミスは防ぎようがないことがほとんどです。
なるべく「自動化」する意識をもって改善していきましょう。

残業代ミス

原因①
突発的に残業したけど申請漏れがあった。正社員以外の雇用形態で雇用している従業員が有休を消化することは初めてだった。

対策

退職者予定者がいて「あと数日で有休消化だし、残業はないだろうと思っていたら残業が発生していた」というパターンです。

給与計算ミスで一番多い原因は「たぶん大丈夫だろうと思って確認していなかった」という思い込みです。

これは「たぶん」ではなく「念のため確認しよう」という意識をするだけでだいぶ変わります。

具体的な対策としては「最新の勤怠で計算する」です。確定前に残業時間があっているかもう一度確認する手順を加えるなどでも良いでしょう。

原因②
タイムカードの残業時間の分刻みの切り捨ての計算方法の認識が違った。

対策

残業時間の端数切り捨ては日単位ではなく月単位です。日単位で時間を切り捨てるのは違法となります。

これは大手コンビニチェーンで行政指導がありました。

十分注意してください。

原因③
当時は集計を一人で手作業しており、合計時間転記の際に桁を間違え、確認作業でも見落とした。

対策

給与計算業務は属人性が高く、一人で行うことが多い業務です。

しかしチェックはなるべく別の人にやってもらいましょう。

作業者だけのチェックだと「大丈夫だろう」と思って見逃す確率が高くなります。

原因④
割増賃金計算において除外できる賃金として
・家族手当
・通勤手当
・施行規則に定める手当として、別居手当、子女教育手当
があるが、それを含めて給与計算した。

対策

割増賃金の計算から除かれる手当として「カツベシリイチニプラスジュウ」という覚え方があります。

「家族手当」「通勤手当」「別居手当」「子女教育手当」「臨時に支払われた賃金」「1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」「住宅手当」ですね。

給与計算システムの設定を改めて確認してください。意外と間違っていることがあります。

労サポくん

残業代の計算は全従業員に影響する場合があります。
計算式や端数などは念のため見直してきましょう。

手当支給漏れ

原因①
送迎手当を加算し忘れた。
送迎申請の用紙がタイムカードと別になっているから。

対策

勤務に付随している申請書が別になっている場合は、「目でチェックして、目で申請書を数える」というアナログな処理になるためミスが多くなります。

対策としては勤怠システムを入れるのが一番効果的です。

低コストで導入できるシステムでもいいので検討してみてください。

原因②
インフルエンザ予防接種の補助金を加算しなかった。
提出された予防接種の領収書を別の袋に保管していたから。

対策

給与計算業務は、どうしても紙のエビデンス(証明書)を元に給与へ反映させなければいけない事象がでてきます。

対策としては前年給与計算結果を確認する方法が効果的です。

インフルエンザなら毎年発生しているので、前年の給与計算結果を確認するだけでインフルエンザ補助金の漏れに気付く可能性は高くなります。

原因③
提出の遅い旅費など出張費を入れ忘れた。
入職時から一人だったので、締め切りを過ぎた旅費の精算をどうするかわからなかった。

対策

給与変更の締め切りは、よほどのことがない限りずらさない方が良いです。

たとえば給与変更の締日が毎月10日だとすると、11日以降の申請については来月にするなど期限を決めて計算することが大切です。

期限を決めることでミスではなく「ルール」となり、給与計算ミスにはなりません。

「まだ変更が間に合うから」という理由でいつまでも変更を受け付けているとミスの原因にもなります。

原因④
給与改定の連絡があったにもかかわらず、前年度の給与で計算を進めてしまった。
連絡を受け、「給与計算時に改めて確認しよう」と思っていたところ、失念してしまった。

対策

前年の給与計算結果と比較すれば防げたかもしれません。前年はどうやって処理していたかを毎月確認すればミスは減ります。

また、口頭の指示で給与を変更するのは絶対に避けましょう。

口頭だけで個人の給与を変更するのはリスクが高く、監査でも指摘されます。

労サポくん

申請を紙で行っている場合は紛失やコミュニケーションエラーなどが起きやすいです。
申請システムなどを導入すればミスが軽減できる可能性もあります。

社会保険料のミス

原因①
介護保険料を徴収し忘れた。

対策

給与計算を手計算やExcelで計算している場合に発生するミスです。

いくら気を付けていたとしても手動で介護保険料を徴収している限りまたミスが起こります。

システムを導入するか、計算式が組まれているExcelを使用すると良いでしょう。

なお、本サイトではExcel給与計算テンプレート介護保険料を自動的に控除してくれるテンプレートを提供しています。ぜひお試しください。

原因②
社会保険料率の変更をしなかった。

対策

社会保険の料率を変更するタイミングは毎年決まっています。

給与計算のカレンダーを作るなど、「何がいつ変更になるのか」を必ず押さえておきましょう。

原因③
12月21日退職の従業員がいたが、12月15日支給の賞与から社会保険料を誤って控除してしまった。

対策

賞与月の月中で退職する人に支給する賞与からは社会保険料が控除されません。賞与は当月分の社会保険料になるからです。

対策としてはシステムの導入が一番良いのですが、導入していない会社はベタに「チェックシートを作る」が一番有効です。

労サポくん

社会保険料は年齢や喪失・免除期間の把握が重要です。
特に初心者は知識を身に着けて意識しながら毎月給与計算を行いましょう。

まとめ

給与計算を間違う原因のほとんどは「単純ミス」です。単純ミスを軽減するには「仕組化」と「システム導入」でほとんど解決ができます。

この記事でご紹介した対策で「できそうだな」と思ったものは試してみてください。

以上、ご担当者様の参考になれば幸いです。

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管理人:キタ コウタロウ
社会保険労務士・Webライター
きた社労士事務所代表
給与計算や社会保険業務などの労務業務を10年経験。その後、社労士として独立。人事労務コンサルのほか、Webメディアの執筆・監修に力を入れている労務の専門家。
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