入社した時や年末調整で必ず提出が求められる扶養控除申告書。もらった瞬間「え、なにこれ?」って思いませんでしたか?
私は新入社員のときに何がなんだかわからず、とりあえず名前を書いて会社に提出していた記憶があります。
そんな扶養控除申告書ですが、実はあなたの税金に関わるとっても重要な書類なんです。ハッキリ言って扶養控除申告書をしっかり理解しないと損をします。
逆に言うと扶養控除申告書を理解すると、節税ができるようになるということです。
今回は「扶養控除申告書って何?」と疑問に思っている方に向けて、なるべく専門用語を使わずにわかりやすく解説します。
税金については学校では教えてくれないですが、日本人全員がかかわる重要なことですよ。
そもそも扶養控除申告書とは
そもそも扶養控除申告書とは「私はこの会社で主な収入を得ています。そして私の養っている家族はこの人たちです。」と、会社に申告する書類です。
つまり2つの意味をもっているということ。
- 主な収入はこの会社で得ていますよ
- 養っている家族はこの人たちです
なぜこのような情報が会社に必要なのかというと、あなたの税金に関係してくるからです。
給料から引かれる税金というのは、主な収入を得ている会社からの給料だと税率が低くなるんです。(甲欄と言います)
また、養っている家族がいるとさらに税率が低くなります。(扶養と言います)
例えば、奥さんと子供2人を養っている場合は「主な収入を得てるのは御社です。養っている家族は妻と子供2人です。だから税金安くして!」と扶養控除申告書で申告してるということ。
逆に扶養控除申告書を提出しないと、高い税率で給与から引かれることになるんですね。(乙欄と言います)
なので、社員全員が会社に扶養控除申告書を提出する必要があるんです。

短時間のアルバイトで扶養控除申告書を提出しないのは、主な収入ではない可能性があるからです。
扶養控除申告書のどこに何を書くのか
初めて扶養控除申告書を見た人は「なんじゃこりゃって」なりましたよね。
大丈夫です。一つ一つ噛み砕いて解説していきます。
まず全体を見て行きましょう。


国税庁から公表されている記入例を使って解説していきます。上記の通り4つに分けていきますね。
氏名・住所など
個人の氏名・住所などを書く欄です。世帯主だけちょっとわかりづらいかもしれません。


所得税務署長等
従業員は書かなくても大丈夫です。
会社の担当者は会社の管轄税務署と市区町村を書きましょう。
とはいえ、会社で給与ソフトを使っていれば自動的に印字されるはずです。
給与の支払者(会社の情報という意味)
従業員は書かなくても大丈夫です。
会社名と法人番号、会社の住所を書きます。通常は会社の担当者が書くか、給与ソフトを使っていれば自動的に印字されるはずです。
あなたの氏名
ご自身の名前を書きます。
あなたの個人番号
マイナンバーを書くところですが、通常は書きません。会社によっては書く場合がありますので、会社の指示に従ってください。
あなたの住所または居所
住民票の住所を書きます。訳あって現住所と住民票住所を別にしている方は注意してください。
あなたの生年月日
ご自身の生年月日を書きます。
世帯主の氏名
生活を共にしている人の代表者を書きます。
実家であれば父か母、夫婦で暮らしているなら夫か妻、一人暮らしならご自身となります。
ちなみに世帯主は住民票に載っていますよ。
あなたとの続柄
世帯主との関係を書きます。
配偶者の有無
配偶者(妻か夫)がいるかどうかです。



ちなみに2020年まではここに押印が必要でしたが、2021年から押印の必要がなくなりました。
従たる給与についての扶養控除等申告書の提出
他の会社から給料をもらっている場合は、マルを書きます。
バイトの掛け持ちなど、ダブルワークしてるかどうかということです。



独身の場合は、ここで解説した氏名・住所・世帯主などの項目のみ記入して終わりです。
次から解説する欄は書かなくても大丈夫です。
源泉控除対象配偶者、控除対象扶養親族の記入
扶養する親族を書く欄です。扶養について細かい説明をすると長くなるので、ここではザックリと解説します。


控除対象扶養親族
扶養する(養っている)16歳以上の親族がいるかどうかという意味です。
子供や親など配偶者以外の親族を扶養している場合は名前を書きます。
ちなみにこの欄の扶養は年収103万円以下(所得55万円以下)の事をいいます。
所得の計算はこちら
個人番号
マイナンバーを書く欄ですが、通常は書きません。会社によっては書く場合がありますので、会社の指示に従ってください。



マイナンバーを書くと機密情報レベルが上がるため、会社での保管が厳しくなるんです。
会社の担当者もマイナンバーを書かれると焦ってしまいます。
老人扶養親族
扶養している親族が70歳以上の場合で、同居してると「同居老親等」にチェック。
同居していない場合は「その他」にチェックします。
70歳以上の方を扶養している場合、同居してるかどうかで払う税金が変わるんです。
特定扶養親族
今年19歳~23歳になる年で、扶養している親族がいる場合は、特定扶養親族にチェックをします。
つまり、現役だと大学生ですよね。「大学生を養っているとお金がかかるので、税金を優遇しますよ」ということです。
非居住者である親族
非居住者とは「日本に住んでいない人」です。海外に住んでいて扶養している場合はマルをつけます。
障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生の記入
障害者やシングルマザーなど身体や家庭の事情がある方が記入する欄です。


扶養親族
扶養する配偶者以外の親族が障害を持っていればチェックしてください。
例えば、子供や両親などですね。
障害の等級によって一般か特別かに分かれます。特別障害に該当するかどうかはこちらをご覧ください。
寡婦・ひとり親・勤労学生
ここはちょっとややこしいので一つ一つ見て行きましょう。
寡婦:年収が500万円以下で、夫と死別、もしくは離婚した後に婚姻していない女性。
ひとり親:年収が500万円以下で、夫や妻と死別、もしくは離婚した後に婚姻をしていない方。または婚姻歴がない方。
つまり、年収500万円以下のシングルマザー、シングルファザーです。
勤労学生:合計所得金額が75万円以下で、勤労による所得以外の所得が10万円以下でアルバイトで生活している学生。
つまり、生活のためにアルバイトをしている学生です。
障害者又は勤労学生の内容
障害者や勤労学生に該当する方が内容を書く欄です。
住民税に関する事項の記入
住民税に関する~と、書いていますが、16歳未満の扶養している子供という意味です。


16 歳未満の扶養親族
16歳未満の子供を扶養している場合は名前を書きます。
こちらもマイナンバーを書くところがありますが、通常は書きません。会社によっては書く場合がありますので、会社の指示に従ってください。
控除対象外国外扶養親族
「日本に住んでいない扶養してる16歳未満の子供」です。海外に住んでいて扶養している場合はマルをつけます。



解説していない「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」は書かなくても大丈夫です。
簡単に言うと「扶養できる子供がいるけど、旦那が扶養しています」と申告できる欄です。
扶養控除申告書の押印は廃止
2021年から扶養控除申告書の押印が廃止になりました。(名前の右横の印がいらない)
また、国税庁に電子化の申請しなくてもデータでの取得・保存が行えるようになりました。(以前は申請しないと電子化できなかった)
詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。
まとめ
扶養控除申告書とは「私はこの会社で主な収入を得ています。そして私の養っている家族はこの人たちです。」と、会社に申告する書類です。
扶養控除申告書を提出しないと「主たる収入ではない」とみなされ、年末調整も受けれません。
意外と重要な書類なんですね。
扶養控除申告書はサラリーマン全員が関わる書類です。これを機に内容と意味を知っておきましょう。
以上、お役に立てると幸いです。



