外国人を雇い入れることになりました。
どんなことに気をつければいいのでしょうか。
そんな悩みにお答えします。
外国人を雇い入れする時は、日本人の時と手続きが異なります。
といわれても、何が違って何を気をつけてればいいのか分かりませんよね。
そこで今回は、外国人を雇い入れた時に必須となる「労働条件通知書」・「賃金」・「社会保険手続き」について解説します。
外国人の手続きに悩んでいる方は、ぜひご覧ください。
外国人の労働条件通知書(雇用契約書)
労働条件通知書(雇用契約書)は必ずしも日本語で書かれている必要はありません。
とはいえ、外国語の書面を行政機関や裁判所へ提出するときは、和訳を添付することが通常です。
外国人労働者が読めない契約書に署名した場合、「口頭での説明と内容が異なっていた」、「署名せざるを得なかった」などと後日言われると、契約無効となる可能性があります。
そのような事態を避け、外国人労働者に納得して働いてもらうために、外国人が読める言語で労働条件を記載するほうがよいのは当然ですよね。
でも「英語で労働条件通知書なんて書けない」と思う方がほとんどだと思います。
大丈夫です。
厚生労働省が英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語など、様々な言語で労働条件通知書のひな型を提供しています。
上記のリンクからひな型がダウンロードできます。(リンク先ページのまん中あたり)
外国人労働者の労働条件通知書の作成にお困りの方は参考にしてください。
外国人の賃金の決め方
外国人労働者を雇う場合、「手取りで〇〇万円欲しい」という条件を出されることがあります。
ただ日本では天引きが主流のため、基本給が30万円と提示しても税金や社会保険料が引かれてしまい、手取額が減ってしまいますよね。
そうなると、外国人労働者からしてみれば「話と違う」となり、トラブルになるでしょう。
そこで外国人労働者ぼ賃金は、手取額から逆算して税金、保険料を算出してから賃金額を決定します。(グロスアップ法)
例えば、手取り30万円を支給する労働契約を結んだ場合は下記のようになります。
基本給 | 300,000円 |
所得税手当 | 9,160円 |
支給合計 | 309,160円 |
所得税 | 9,160円 |
手取額 | 300,000円 |
この例は、扶養者なしで控除は所得税のみを想定したものです。
「所得税手当」という手当を支給することで、手取りが30万円になるように調整しています。
では、どうやって計算したのか、詳しく解説します。
基本給 | 300,000円 |
所得税手当 | X① |
支給合計 | 300,000円+X① |
所得税 | X② |
手取額 | 300,000円 |
なんか急に数学的になってきましたが、ご了承ください。
計算としては「X①=X②」になればよいのです。
手順は下記の通り。
- 300,000円の所得税を算出する(8,420円)
- ①で算出した所得税+300,000円で再び所得税を算出(9,160円)
- ②で算出した所得税+300,000円で再び所得税を算出(9,160円)
- 所得税が②で算出した所得税と同じになったので9,160円が「所得税手当」となる
わかりましたでしょうか・・・。ちょっと難しいですよね。
所得税の計算をいちいち計算するのは時間がかかると思うのでこちらのサイトで自動計算してください。
ちなみに、社会保険の控除がある場合は下記のようになります。
基本給 | 300,000円 |
健康保険手当 | 17,820円 |
厚生年金手当 | 32,940円 |
雇用保険手当 | 1,083円 |
所得税手当 | 9,160円 |
合計 | 361,003円 |
健康保険 | 17,820円 |
厚生年金 | 32,940円 |
雇用保険 | 1,083円 |
課税額 | 309,160円 |
所得税 | 9,160円 |
控除計 | 61,003円 |
手取額 | 300,000円 |
このように、外個人労働者を雇用した場合で、手取額を基準とした場合は手取り額から逆算して賃金額を決定します。
外国人の社会保険・労働保険手続き
結論からいうと、外国人でも健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険は原則加入しなければなりません。
社会保険(健康保険・厚生年金)
まず社会保険の手続きから見て行きます。
社会保険は外国人であろうと社会保険の加入義務がある会社に雇用された場合は適用されます。
アルバイトやパートも同様で、一般社員の4分の3以上の労働条件であれば加入義務が発生します。
ただ、日本人と違うところは「社会保険協定」と「脱退一時金」です。
社会保障協定とは
・「自国と日本で社会保険料が二重払いにならないように調整する」
・「自国と日本で年金保険料を払った場合は保険料支払い期間が通算できる」
というものです。現在29か国で加盟しています。
記入の様式は国によって違うので下記のリンクからダウンロードしてください。
社会保険の加入義務がある外国人を雇用した場合は社会保障協定の手続きを忘れずに行いましょう。
続いて、脱退一時金です。
脱退一時金とは
「年金をもらう前に帰国するから、日本で年金をもらう予定がないから払った保険料返して」
というものです。
脱退一時金は外国人労働者本人が申請する者なので、会社を退職する時に教えてあげましょう。
雇用保険
雇用保険は原則外国人でも加入しますが、下記の方は加入できません。
- 全日教育機関に通う留学生
- ワーキングホリデー
ただし上記の理由があったとしても「外国人雇用状況届」は雇用保険の加入の有無にかかわらず必ずハローワークへ届出する必要があります。
届出を怠ると、30万円以下の罰金が科されるので注意しましょう。
また、「雇用保険被保険者資格取得届」の書き方が少し違います。
ポイントとしては「18.備考欄」に国籍や在留資格などを書くところがあること。
中長期的に日本に在留する人は「在留カード」を持っているので、在留カードのコピーをもらって書くようにしましょう。
労災保険
労災保険は労働者であれば全員強制加入です。
外国人労働者であっても雇用形態や在留資格に関わらず加入することになります。
外国人の雇い入れに役立つサイト
最後に、外国人の雇い入れに役立つサイトをご紹介します。
ぜひ、参考にしてください。
まとめ
外国人に提示する労働条件通知書は、自国の言語または英語で表記してあげましょう。
後日「条件が違う」と言われたらトラブルのもとになりますからです。
賃金は、手取額から逆算して決定することが多いため、あらかじめ社会保険料や税金を考慮した給与設計すると良いです。
また、外国人労働者も社会保険・労働保険は適用されます。
ただ、社会保険協定や外国人雇用状況届など、外国人独自の制度があるので、忘れずに届出しましょう。
以上、外国人の雇入れ手続きでした。
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参考になれば幸いです。
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