月変って何?
月変になる条件も知りたいです。
そんな悩みにお答えします。
月変(月額変更・随時改定)は社会保険業務の初心者にとって難しい処理の一つです。
なかには「給与計算システムに月変者が出てきたから、とりあえず処理する」という方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、労務初心者の担当者に向けて、わかりやすく丁寧に月変を解説します。
月変とは
月変とは、簡単に言うと「基本給が上がったので、社会保険料も上げましょう」または「基本給が下がったので、社会保険料も下げましょう」という処理です。
つまり、社会保険料を改定する処理のことをいいます。
月変は直近3ヵ月の給与で決まる
月変の判断は、基本給(固定給)に変動があった月から3ヵ月の平均給与をもとに行います。
たとえば10月に昇給した場合、10月・11月・12月の給与の平均が大きく変動(標準報酬月額が2等級以上変動)していれば月変の対象です。
この例の場合、1月になってから速やかに月額変更届を作成し、日本年金機構に提出する必要があります。(健康保険組合の加入者は健康保険組合も提出)
給与計算ソフトを使っている場合は、自動的に対象者が抽出されるはずです。
つまり月変とは「月に関係なく固定給が変動した月から3ヶ月後に改定する」制度ということです。
具体的には、固定給が変動して、かつ標準報酬月額が2等級以上の差が出た場合に月変が行われることになります。
なお、標準報酬月額とは社会保険料を決める「みなし給与」です。
社会保険料は「月平均20万円~22万円の人は〇〇万円で社会保険料を計算する」という決まりになっており、これを「標準報酬月額」と言います。
詳しくはこちらの記事で解説していますので、「標準報酬月額って何?」という方は、まずこちらをご覧ください。
月変における固定給(固定的賃金)とは
「固定給ってそもそも何?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
月変において固定給は「固定的賃金」という名前がついています。そして固定賃金とは「毎月一定額が継続して支給される賃金」のことです。
以下の賃金が固定的賃金に該当します。
- 基本給
- 役職手当
- 家族手当
- 単身赴任手当
- 通勤手当
など
これらの賃金が変動して、かつ標準報酬月額が2等級以上変動することで、月変(社会保険料の改定)になります。
ただし、固定的賃金が大幅に変動しても月変にならない場合があります。
次で解説しますよ。
月変になるか・ならないかの判断
月変は固定的賃金が変動すれば必ずしなければならないというものではありません。
たとえば、残業代は毎月変動する賃金になるため、固定的賃金に該当しません。
つまり、いくら残業をしても月変にはならないということです。
また、固定的賃金が上がっても、残業代が下がっていたら月変にはならない場合があります。
月変は固定的賃金の変動し、かつ残業代などの非固定的賃金を含めて2等級以上変動した時に月変になるということです。
「わからなくなってきた」という方も多いと思うので、下記の図をご覧ください。
固定的賃金:上がる
非固定的賃金:上がる
標準報酬2等級:上がる
〇月変する
固定的賃金:上がる
非固定的賃金:下がる
標準報酬2等級:上がる
〇月変する
固定的賃金:上がる
非固定的賃金:下がる
標準報酬2等級:下がる
×月変しない
固定的賃金:下がる
非固定的賃金:下がる
標準報酬2等級:下がる
〇月変する
固定的賃金:下がる
非固定的賃金:上がる
標準報酬2等:下がる
〇月変する
固定的賃金:下がる
非固定的賃金:上がる
標準報酬2等:上がる
×月変しない
このように、固定的賃金が変動するからといって月変にはならない場合があるので注意しましょう。
標準報酬月額が2等級以上変動しても必ず月変になるわけではないということです。
月変届(月額変更届)はいつ届でるのか
月変は固定的賃金が変動した給料が支払われた月から4ヶ月目になったら速やかに提出が必要です。
また、給料日の月を基準として考えることも覚えておきましょう。
例を2つ紹介します。
10月に昇給した場合で10月25日に基本給の上がった給与が支払われた場合(当月締・当月支給)
1月に月額変更届を提出します。
10月・11月・12月で平均を計算し、1月に改定が行われます。
10月に昇給した場合で11月25日に基本給の上がった給与が支払われた場合(当月締・翌月支給)
2月に月額変更届を提出します。
昇給は10月でも11月の給料から変更されるため、11月・12月・1月で平均で計算し、2月に改定が行われます。
なお、算定も同じく給料日が基準になります。
算定について詳しく知りたい方は下記の記事も合わせてご覧ください。
まとめ
月変は昇給・降格があればほとんどの場合発生します。条件に当てはまる場合は必ず届出をしましょう。
また、届出漏れが起こると従業員の将来の年金にも影響します。
制度を理解して月額変更届を作成することが大切です。
月変の様式、記入例などは日本年金機構のホームページからダウンロードできます。
日本年金機構:月額変更届の様式・記入例はこちら
また、固定的賃金と非固定的賃金について詳しく知りたい方はこちらのサイトが参考になります。
以上、担当者様のお役に立てると幸いです。
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