賞与の社会保険料ってどうやって計算するんですか?
そんな疑問にお答えします。
賞与の社会保険料は給与と違い、支給額(標準賞与額)に対して料率をかけて算出します。
計算結果を早く知りたい方は、下記のサイトで賞与の社会保険料が自動計算ができるのでご利用ください。
賞与の健康保険料・自動計算(従業員分のみ)
賞与の厚生年金保険料・自動計算
「実際どうやって計算しているか知りたい」「賞与の社会保険料がかからない場合を知りたい」という方は引き続きこの記事をご覧いただければと思います。
賞与の社会保険の計算方法
賞与の社会保険料は1,000円未満を切り捨てた支給額に保険料率をかけて算出します。(標準賞与額といいます)
給与で使用している標準報酬月額は関係ありません。
たとえば、賞与が500,200円だった場合の社会保険料の内訳は下記のようになります。
賞与:500,200円
健康保険料率:9.84%
介護保険料率:1.80%
厚生年金保険料率:9.15%
子ども・子育て拠出金率:0.36%
従業員の負担額
健康保険料:49,200円(500,000円×9.84%)
介護保険料:9,000円(500,000円×1.80%)
厚生年金保険料:45,750円(500,000円×9.15%)
会社負担額
健康保険料:49,200円(500,000円×9.84%)
介護保険料:9,000円(500,000円×1.80%)
厚生年金保険料:45,750円(500,000円×9.15%)
子ども・子育て拠出金:1,800円(500,000円×0.36%)
このように、1,000円未満を切り捨てた支給額に料率をかけると賞与の社会保険料が算出できます。
健康保険料率は、地域や会社が加入している健保組合によって違います。例では東京都の協会けんぽの料率で計算しました。
賞与の社会保険料には上限がある
賞与の社会保険料は支給額に保険料率をかけるため、上限がなければ青天井で保険料が引かれてしまいます。
そのため、賞与では以下の上限が設けられています。
- 健康保険料(介護保険料):年間累計額573万円
- 厚生年金保険料:月150万円
たとえば、夏・冬の賞与がともに300万円の場合は以下のように計算されます。
夏の賞与:3,000,000円
健康保険料率:9.84%
介護保険料率:1.80%
厚生年金保険料率:9.15%
子ども・子育て拠出金率:0.36%
健康保険料:3,000,000円 × 9.84% = 295,200円
介護保険料:3,000,000円 × 1.80% = 54,000円
厚生年金保険料:1,500,000円 ×9.15% = 137,250円
子ども・子育て拠出金:1,500,000円 ×0.36% = 5,400円
冬の賞与:3,000,000円
健康保険料率:9.84%
介護保険料率:1.80%
厚生年金保険料率:9.15%
子ども・子育て拠出金率:0.36%
健康保険料:2,730,000円 × 9.84% = 268,632円
介護保険料:2,730,000円 × 1.80% = 49,140円
厚生年金保険料:1,500,000円 ×9.15% = 137,250円
子ども・子育て拠出金:1,500,000円 ×0.36% = 5,400円
このように、健康保険と厚生年金保険でそれぞれ上限が設けられており、上限を超えた分は社会保険料の計算に含まれません。
賞与を計算する際は、上限額に注意しながら計算しましょう。
賞与の社会保険料がかからない場合
賞与の社会保険料は「当月分」の社会保険料を徴収しています。
たとえば、6月10日が賞与支給日だとしたら、賞与から控除される社会保険料は「6月分」になります。
そのため、賞与月の途中で退職するか、賞与月に産休・育休を開始した場合は社会保険料を控除しません。
詳しく見ていきましょう。
賞与月の途中で退職した場合
従業員が退職した場合、社会保険料は「退職日の翌日の属する月分から」保険料が発生しません。
たとえば、6月30日に退職した従業員は、退職日の翌日(喪失日)は7月1日になります。この場合、7月分の社会保険料は発生しません。
一方、6月15日に退職した従業員は、退職日の翌日が6月16日になるため、6月分の社会保険料から発生しないことになります。
つまり、6月15日に退職する従業員に支給する賞与は、たとえ賞与支給日が6月10日だったとしても賞与の社会保険料は発生しません。(月途中で退職しても賞与が支給される会社に限ります)
極端な話、6月5日に支給する賞与では、6月29日に退職する従業員の社会保険料が発生しないということです。
賞与月に産休・育休を開始した場合
産休・育休は「休業を開始した月から」社会保険料が免除されます。
たとえば、6月15日から産休を開始する場合は、6月分の社会保険料がかからなくなります。
さらに、12月31日から産休を開始する場合も、12月分から産休が開始するため、社会保険料がかからなくなるということです。
つまり、月途中で退職する人と同じように、6月10日に賞与を支給する従業員が、6月15日から産休を開始する場合は、たとえ賞与支給日が産休前の6月10日だったとしても社会保険料を徴収しません。
これは男性が育休を開始する時も同じです。
そのため、賞与計算するときは賞与月に産休・育休を開始する人がいないか確認しておく必要があります。
まとめ
賞与の社会保険料は、1,000円未満を切り捨てた支給額に保険料率をかけて計算します。標準報酬月額は関係ありません。
標準報酬月額については下記の記事で詳しく解説しています。
また、賞与月の途中で退職する従業員や、産休・育休を開始する従業員は賞与が支給されても社会保険料が発生しません。
賞与の社会保険料は給与の処理とは異なりますので注意しましょう。
以上、賞与の社会保険料についてでした。担当者様の参考になれば幸いです。
社会保険や給与計算をミスした時にどう対処していいのかが事細かに書かれています。
実務経験豊富な著者の実体験をもとに書かれているので、参考になります。
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